8月11日は山の日。近年、登山客で特に賑わいをみせる陣馬山の麓に住む小池栄一郎さん(69)は、月に1〜2回は近場から海外まで、山登りに出向く根っからの登山家だ。併せて、陣馬山山頂に3軒ある茶屋の一つ「信玄茶屋」を営み、地元山岳会の会長としても、年々増える登山客の安全を見守っている。
陣馬山の麓に生まれ、母親が山頂にある「信玄茶屋」を営んでいたこともあり、子どものころから山が身近な存在であった小池さん。妻の千恵子さんと一緒に、時間が許せば山を登る登山家としての一面を持ち、地元・北丹沢山系の自然保護にも積極的に携わる。
現在は、藤野山岳会の会長、環境省自然公園指導員などとして、地元の山々の保全にも積極的に関わっている。陣馬山には、「バアソブ」や「スズサイコ」など、近隣では陣馬山にしか生息しない珍しい植物も多く自生している点も強調する。さらに、2003年には同山岳会、NPО北丹沢山岳センター、藤野観光協会らと協力して、名山選定委員会を組織。近隣の山々から「藤野15名山」を選び、15名山のマップ・ガイドブックなどを制作。15名山全てを制覇したハイカーには記念バッジを進呈するなど、観光PRにも積極的に取り組む活動も行う。「陣馬山山頂は360度パノラマで、どの方面の景色も素晴らしく、貴重な観光資源です。この財産をありのままの姿で後世に残していくのが我々の使命です」と話す。
「万全の準備で安全な登山を」
「登り終えた時の達成感が何にも代えがたい、気持ちの良いものです」と話す小池さん。登山家としての本格的な出発となったのは、知人の紹介で17歳の時に藤野山岳会に入会してから。当時、20〜30代の青年約50人が同山岳会に在籍し、その先輩たちに登山の初歩を教わった。さらに、20代半ばで、1997年まで県が運営していた丹沢登山訓練所に入所。そこで、登山に必要な知識を取得、経験を積んでいった。以後は、山の魅力に魅せられ、富士山登頂11回をはじめ、近場から遠方まで日本の有名な山々はほとんど制覇。定年後は、海外にも目を広げ、アフリカのキリマンジャロやボルネオ諸島のキナバル山などの世界的に有名な山にも挑戦した。70歳を前にした今も、月に1〜2回は自身で登山に出向くほか、地元の依頼で定期的に、30人程を連れて登山の指南を行う活動も行っている。「山は基本、妻と一緒に登ります。最近は高齢者の事故が目立ちます。山は想像以上に危険な部分もあるので万全の準備をして登って下さい」と注意を促す。
登山客の間で知名度が上がり、年々ハイカーを増やす北丹沢山系。その代表する山である陣馬山も、小池さんら地元の山を愛する住民の努力によって支えられている。
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