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受け継ぐ、相模原の魂

スポーツ

公開:2019年3月7日

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 チーム唯一の市内出身選手としてSC相模原で9年間を過ごし、昨季限りでの現役引退を発表した工藤祐生元選手(32)。工藤さんと入れ替わるように、チームには地元・上溝出身の上米良柊人選手(22)が新たに加わった。自身が生まれ育った相模原の名を背負いピッチに立つ意味、これからSCが歩むべき道のりを二人に語ってもらった。

 ―お二人は今日が初対面なんですよね。

工藤さん「初めてです。退団後、次はどんな選手が入団するのかチェックしているときに市内出身の子が入ると知りました。大学は、佐熊裕和先生が監督の新潟医療福祉大だよね。佐熊先生は僕の高校時代の監督でもある」

上米良さん「そうですね。昔はすごく厳しかったと聞きました」

工藤さん「当時は気軽に話しかけられないほど厳しかったよ。個人的にはお互い知らなかったけど、そんな共通点はあります」

貴重な市内出身選手

 ―工藤さん、10年間の現役生活お疲れ様でした。

工藤さん「ありがとうございます。正直なところ、やりきったかと言われるとやりきれてはないですね。まだ体は動くので。言ってしまえば次のチームがなかったので、一度線を引こうと。だから今後、どこかから声が掛かればいきなり復活するかもしれない。今は人生の岐路に立っています」

 ―この9年間、市内出身の選手は工藤さん一人だったんですよね。

工藤さん「設立1、2年目は多分いたと思うんですけど、僕が入った3年目からは、1人だけいましたが、あとはいなかったかな。だから、市内出身選手が入るのはうれしいですね」

 ―上米良さんは工藤さん以来の市内出身選手ですが、SCとの出会いはいつ頃でしたか。

上米良さん「SCができたのは僕が小学生のとき。それから直接的な接点はなかったんですが、去年の11月に練習試合でSCと対戦し、そのときのプレーがきっかけで声をかけてもらいました。あとは大学リーグでの自分のプレーの動画をSCに送ったりもしました」

 ―SCにはどんな印象を持っていましたか。

上米良さん「地元のクラブということで、試合の動画を見ていました。入れたらいいなという思いがあったので、オファーがあったときはうれしかったですね」

チームと共に成長

 ―工藤さんはどんな信念を胸に9年間SCでプレーしてきたのですか。

工藤さん「大卒で入った当時J2の栃木SCが1年で契約満了になって、色々なチームを探していました。その当時、SC相模原は立ち上がって3年目。まだ県1部リーグで、グラウンドも土という厳しい環境でした。個人的にはJ2から県1部リーグってかなりカテゴリーを下げたんですけど、Jリーグをめざす地元のクラブがあったので、地元の選手としてクラブと一緒にカテゴリーを上げていこうという気持ちでした。そしたら長いこといることになって。J2までという目標がある中、J3までしか行けなかったんですが。今後SCが上をめざしていく中で、まずはクラブの目標であるJ2昇格に向けて頑張ってほしい。個人的にも相模原市民として応援していきたいと思います」

 ―地元に支えられた現役生活でしたか。

工藤さん「地元というのは大きかったですね。スクールの子どもたちや、家族・親戚・友人、やっぱり応援してくれる地元の人は、他の選手に比べたら多いので、励みになりました」

 ―上米良さんは工藤さんの9年間からどんなことを感じますか。

上米良さん「地元のクラブに長く在籍し、昇格させたいという姿勢はすごく尊敬します。僕もクラブにどれぐらい残るかはわからないですけど、自分が引っ張っていけるようにしたいと思います」

勝利を一番に

 ―工藤さんは、SCに何が必要だと考えますか。

工藤さん「カテゴリーが下のときは勝つことで周囲に評価され、カテゴリーも一つ一つ上げてこられました。今年はJ3で6年目になるんですが、結果がついてきていない。そうすると、本当に昇格できるのかというところで市の協力だったり、ファンやスポンサーだったりが不安になると思うので、やっぱりサッカーチームである以上、結果が必要かな。去年とメンバーも大きく変わって、楽しみな選手も数多く入ったので、まずは昇格圏内の2位以内をとってほしい。勝つことで評価されていくと思うので、勝つことが一番だと思います」

地元に愛される選手に

 ―同じ市内出身として上米良さんに引き継ぎたいことはありますか。

工藤さん「他の選手と違って地元の選手という点で、応援してくれる人が多いと思う。そんな人たちの期待に応えないといけないし、相模原の子どもたちには上米良選手のようになりたいと夢を与えてほしい。地元に愛されるような選手になってほしいなと思います」

上米良さん「そうですね。僕も知り合いがいる中でプレーできるのは喜びです。『応援してるよ』といったメッセージをもらえると力になります。でも、プロとしてまだスタートラインに立っただけだと思うので、まず試合に出ることを大前提としてその中で、勝利をもたらすプレーをしていきたいと思います」

工藤さん「僕みたいにクラブと共にカテゴリーを上げるのも一つだと思うんですけど、若いうちに上をめざしてほしい。試合で活躍することでJ2、J1から声が掛かると思う。このクラブで活躍することはもっと上のクラブに移籍するチャンスでもある。まずはこのクラブのためにしっかり戦って試合に出て活躍してほしいなと思います」

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