認知症当事者を専用アプリを使って地域で見守る「相模原市民みまもりあいプロジェクト」などの取り組みが17日、渋谷区のイベントで紹介された。相模原の見守りの取り組みを先駆的事例としてまちづくりに生かそうと、渋谷区がプロジェクトの事務局らを招いたことで実現。ディスカッションで地域での見守りについて相互理解を深めると共に、今後も交流を継続し、取り組みの発展に向けて協力していくことを確認した。
相模原の取り組みが紹介されたのは、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりをめざす渋谷区主催の福祉イベント「認知症なっても展」内のワークショップ。プロジェクトの関係者を通じ相模原の取り組みに関心を持った渋谷区の担当者が、事務局の1人でNPО法人Link・マネジメント代表理事の井戸和宏さんに出演を依頼。井戸さんが事務局のほか、関係する市内の他業種のメンバーを呼び寄せ、イベントへの参加が実現した。
ワークショップでは「住み慣れた地域に求めるデザインとは?」をテーマに、渋谷区の福祉関係者、商店街関係者、民生委員、学生らが参加し議論した。その中で、市内からは認知症サポーター養成講座の講師役・キャラバンメイトの連絡会発足までの経緯、認知症サポーター同士がつながる場「さがみはら認知症サポーターネットワーク」の役割、そしてプロジェクトと課題について各担当者が紹介。こうした相模原の事例をヒントに意見を交わし、「人々がかかわり合い、地域でつながる」といった町の理想像に迫った。
このほか、今回は見守りなどの福祉の枠を超え、商店街の関係者が地元の町の実情と課題について語り合い、情報交換する場面が見られるなど、地域のさまざまな分野で課題を解決していく意味で画期的な機会となった。
イベント後、今後も地域での見守り活動の充実を主眼に、市民レベルでの交流を継続する方向で一致した。井戸さんは「少しずつの行動の積み重ねでやさしい町の実現につなげたい」と話す。プロジェクトでは個人・企業から寄附・協賛を募り活動の充実を図る構え。詳細は事務局【電話】042・707・1603へ。