WEB版タウンニュースさがみはら3版合同連載コラム 「コロナに負けない」 第2回(全6回)
新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、市内のさまざまな分野で尽力されている方々の取り組み、思い、市民へのメッセージをお聞きします。
子どもとの連帯 日々模索 相模原市教育委員会教育長・鈴木 英之さん
市内小中学校の休校をめぐり、情勢が変化してきたのは2月中旬だった。市内でも感染者が確認される中、休校を求める声が学校に加えて保護者からも上がったことから教育委員会で検討。その上で方針を示すはずだったが、首相から一斉休校の要請が発表され急転した。その日は2月27日の木曜日。3月2日の月曜日から一斉休校するためには28日の1日で議論するしかなかった。たった1日の登校で児童生徒の学校生活を終わらせるのは心苦しかったが、感染予防の観点と国の要請を受け止め、春休みまでの休校を決めた。
こうした状況の中でも、卒業式の実施の可能性を模索し続けていたところ、児童生徒から卒業式の実施を求める手紙が届く。手紙には「お世話になった先生に自分の成長した姿を見せたい」といった懇願の文字が並び、その思いをさらに強くした。検討を重ね卒業式を無事に開催。児童生徒、保護者からは喜びの声が寄せられた。
春休み後も感染状況の改善はなかったが、入学式、始業式の実施への思いは揺るがなかった。批判はあったが、教材を渡すための機会だけでなく、児童生徒が今年度の担任と顔を合わせることで「困ったときに誰に相談すればいいのか」を理解し安心できるようにすることに重点を置いた。
心身の健康状態に気配りを
休校期間の対応としては、とりわけ児童生徒の心身の健康状態に気を配るよう各校に指示した。子どもたちと学校とがつながりを持ち続けることの必要性を感じているからだ。その中で教職員たちは、午前中に児童クラブの運営を補助し、午後は家庭学習のプリント作成にあたるほか、各家庭に電話をかけては一日の様子をうかがうなどコミュニケーションを図っている。各学校では臨時登校の模様をホームーページにアップしたり、ブログで生活にかかわる情報を発信。各校の取り組みに独自色がにじむ。
教育委員会でも子どもたちの生活習慣の徹底を目的に、ラジオ局と連携してホームルームの時間を再現した「ラジオde朝の会」を放送。教育面では40本以上の授業動画を配信中。どの取り組みも、子どもたちとのつながりを模索する中で生まれた。「特に学校側は地域性、家庭状況を見ながら子どもたちとのかかわり方を常に考えている」
ただ、学校再開への道は平たんではない。国、県と感染状況を見極めながらの難しい判断が求められる。現場では不安も募る。休校が長期化する中で、児童生徒の学習面、健康面に限らず、心の状態も懸念されるところだ。そうした中、教職員に日々の取り組みへの感謝を示しつつ、「これからも子どもたちの状態に気を配りながらつながり続けてほしい」と改めて求め、児童生徒には「困ったら、苦しい気持ちを分かっている皆の学校の先生に相談してほしい。決して一人で抱えないで」と訴える。子どもたちとのつながりに最大限配慮し、難局のかじとりに心血を注ぐ。
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