家庭でのインターネット通信環境の状況などについて、市教育委員会はこのほど、市立小中学校、義務教育学校の全児童生徒を対象にした調査を初めて実施した。児童生徒にタブレット端末を1台ずつ整備する国の「GIGAスクール構想」の早期実現に向けたもので、小中学生家庭の約99%がWi─Fiやスマートフォン(以下スマホ)のLTE回線(携帯電話用の通信回線)からインターネットにアクセス可能であることがわかった。市では今後、未整備の家庭支援に向け、モバイルルータなどの貸与を検討している。
同構想は、小中学校へICT(情報通信技術)の活用を進めることを目的に、国が当初2023年度までの導入を目指していた。ところが、新型コロナウイルスの影響で小中学校が休校となり、家庭でインターネットを通じた学習を行う際、通信環境の差が課題に上がっていた。そのため国は20年度補正予算で対応し、各自治体に迅速な導入を要求。相模原市でも今年度中のタブレットの整備を計画している。
そうした中、市は通信環境の整っていない家庭にインターネットに接続できる小型通信端末「モバイルルータ」などの貸与を検討するため、初めて各家庭での通信環境調査に乗り出した。臨時休校明けの6月1日から実施し、市立小中学校に通う児童生徒の家庭にアンケート用紙を配布。学年、家庭の通信環境、子どもが学習で占有でき、かつインターネットにつながる端末の所有の有無とその種類を無記名で尋ねた。
対象の児童生徒5万1476人に対し、有効な回答を得たのは約86・4%(4万4490人)。「タブレットやパソコンなどの端末を利用できるインターネット環境(Wi─Fi)がある」が約87・9%。子どもが学習で占有でき、かつインターネットにつながる端末(パソコンやタブレット、スマホなど)を所有しているのは全体の約82・4%にのぼった。
一方で、通信環境設備がなく「インターネットを利用できない」と回答したのは約1・0%(399家庭、児童生徒総数で換算すると536人)だった。また、約66・5%が「保護者のスマホなどからインターネットを利用できる」と回答したことから、親の不在時に通信環境が整わない可能性もあるため、モバイルルータなどの貸与の必要性が浮かび上がった。
学習で占有でき、かつインターネットにつながる端末の種類に関しては、スマホが最も多く、約49・2%の家庭で保有。コンピュータ(デスクトップ型、ノート型)は43・5%、タブレット端末は38・3%となった(複数回答可)。学年別にみると、スマホは小6生までは4割前後の保有率だったが、中1〜3生になるといずれも7割を超える結果となった。
アンケートを実施した市教委・教育センターの担当者は、「今回の調査で、端末整備の際に通信環境面でフォローの必要性のある家庭数がわかった。全児童生徒の学びの保証をするため、結果を重く受け止め、支援に努めていきたい」と話している。
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