「はやぶさ2」の帰還で宇宙に関心が集まる中、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所と相模原市、市民がより身近な存在となり、共に宇宙を通じ夢を育もうと地元有志による新組織が誕生した。今後は交流行事などで関係をさらに深め、全市でJAXAを応援していく方針だ。
組織の名は「JAXA宇宙科学研究所と夢を創る会」。市内に宇宙科学研究所(以下宇宙研)の相模原キャンパスがあることから地元色を濃くするため、あえて宇宙研の名称を加えている。
これまで、同所にほど近い商店街として、淵野辺駅北口を中心とする「にこにこ星ふちのべ商店会」では宇宙をテーマにまちづくりを進め、JAXAから感謝状を贈呈されるなど良好な関係を築いてきた。
そうした中、JAXAの関係施設を有する国内の各地域で結成された「銀河連邦共和国」の鹿児島県肝付町を商店街メンバーが視察した際、JAXAスタッフと大勢の町民が集まって応援する会を催しているのを知る。そこで、相模原でも交流行事で市民とJAXAをより身近にする必要があると実感。世界が注目するはやぶさ2の計画とそこにかかわるスタッフを応援する機運を醸成していく目的も込め、昨年から会の設立が検討されてきた。設立後は、はやぶさ2の帰還応援の行事を市の目玉にし、全国にPRする予定だった。
だが、新型コロナウイルスの感染拡大で白紙状態に。当初は6月の設立をめざすも困難な状況で叶わず、緊急事態宣言後に協議を重ねた末、9月の設立にこぎつけた。
会の発起人代表の茅明夫さんは、はやぶさ2計画以外のスタッフとも関係を深めていく考えを明かした上で、「JAXAと市民の接点を増やして架け橋になるような活動がしたい」と今後を見据える。
帰還PVなど行事続々
11日に開催された設立総会には宇宙研の國中均所長をはじめ、市職員、商店街関係者のほか、オンラインで30人が参加。会の規約や今後の計画について報告された。
國中所長は相模原市民の日頃からの応援に感謝を述べた上で、会の設立に関して「とても心強く感じる。応援とともに宇宙科学事業を推進していきたい」と期待感と事業への意欲をのぞかせた。
はやぶさ2の現状は「順調に地球に接近している」とし、豪政府の協力で100人規模のスタッフを帰還予定の12月6日までに現地に派遣する計画を示した。併せて、小惑星リュウグウで採取して持ち帰ったカプセルについて「何らかの形で皆さんにお見せできるようしたい」と話し、前回のはやぶさと同様、披露する場を設ける考えを明らかにした。
本村賢太郎市長はビデオメッセージを寄せ、「昨年は市とJAXAは連携協定を結ぶなど、市にとって欠かせない存在。市としても将来、子どもたちが宇宙を通じて描く夢を応援していきたい」とし、「帰還はぜひ市民一体で盛り上げたい」と決意を見せた。
はやぶさ2の帰還をめぐり、会では12月5日深夜に淵野辺駅北口デッキ下でパブリックビューイング(PV)を実施するのに加え、カプセルが戻る時期に合わせて非公開でセレモニーを行う予定。今後もコロナ対策に注力しながら、はやぶさ2やJAXA全体を盛り上げるイベントを続々と開催し、相互の交流の深化に努めていく構えだ。
![]() (上)ウェブ参加も含めて実施された設立総会(下)JAXA,行政、地域住民を表す3つの星などが印象的な会のロゴ
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