市内在住の郷土史家・涌田佑さん(92)がこのほど、幕末に現在の上溝に生まれ、その後明治天皇付きの医師(侍医)として活躍した偉人・伊東方成についてまとめた本を出版した。タイトルは『伊藤方成 蘭方医・明治天皇侍医』(日相出版)。涌田さんが相模経済新聞に約80回連載した内容を精査し、まとめた重厚な一冊となった。
「神奈川の百人」選出の偉人
伊東方成は1832年、当時の高座郡上溝村久保の医師・鈴木方策の長男として生まれた。同村の医師・井上篤斎が主宰する寺子屋で勉学に励み、1849年、17歳の時に江戸へ。蘭方医・伊東玄朴のもとでオランダの医学を学んだ。
その後、29歳の時、長崎に設立された日本で最初の官立洋式病院である長崎養生所でオランダ人軍医・ポンぺに学び、翌年、学友の林研海らとともに幕命でオランダに留学。1868年に帰国後は、明治政府に仕え、明治天皇付きの医師(侍医)として活躍した。市出身の政治家・尾崎咢堂とともに、「神奈川の百人」に選ばれている。
貴重な資料も
同書には伊東方成の生い立ちや医師としての活躍のほか、2017年に涌田さんと地元の郷土史家数名が発見した当時の医学書『象泉堂常用方』が添付されている。この『象泉堂常用方』は玄朴が弟子たちに配ったと思われるもので、まだ研究が進んでおらず「医学的のも価値があると思われる」という。
涌田さんは同書を市内中学校に約60冊を寄贈。「子どものときに地域の歴史を学ぶことが郷土愛につながる。この本をきっかけに郷土史に興味を持ってほしい」と笑顔で話した。涌田さんは相模原の歴史を知ることができる展示会の開催も計画している。同書の購入は日相出版【電話】042・748・6020へ。
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