歳出超過の解消を目的に相模原市が2021年4月に策定した「行財政構造改革プラン」で、廃止を含めた施設の在り方を検討するとされている淵野辺公園(弥栄)の運動施設「銀河アリーナ」(アイススケート場・プール)について、市民を対象に市が実施したアンケートの結果、維持を希望する回答が63・8%に達した。これまでも存続を求める声が多く上がっていた同施設の存廃について市は、今年度中に方向性を示す考えだ。
夏はプール、冬はアイススケートが楽しめる運動施設として1991年に開設された銀河アリーナ。中でもスケートリンクは県内で唯一ショートトラック競技の練習設備が整っており冬季五輪の代表選手を輩出するなど、競技団体にも親しまれている。
一方で開設から30年以上が経過し設備が老朽化。年間1・5億円の運営費用のほか、維持のために多額の改修費用を要するため、21年1月に発表された行財政構造改革プラン案では市内26施設とともに廃止や民間移行を検討する方向性が示された。
同案発表後にパブリックコメントを実施したところ、銀河アリーナの存続を希望する声が特に多く寄せられたことから市は、現在の建物を利用した民間による運営など、市が負担を伴わずに施設を維持できる方法を調査する内容を加えたプランを4月に策定。その後、民間事業者から意見を聴取するサウンディング型市場調査を進めた結果、利用料金の値上げや、市が負担する最小限の改修費1〜2億円と毎年の運営費を7000万円までに抑える条件であれば今後10年程は維持ができると判断された。
値上げも容認
さらなる検討を進めるため市は、今年の1月13日から2月4日まで市民アンケートを実施。市在住で満6歳以上の5000人を無作為に抽出し調査票を郵送、2505件の有効回収数があった。
アンケートでは「相模原市にアイススケート場が必要かどうか」の質問に対して、「必要である」「どちらかといえば必要である」と答えた人の割合は49・3%。今後の同施設の在り方に対して、「今のまま維持する」「条件を変えて維持する」と答えた人の割合は63・8%に達し、「廃止する」の19・6%を大きく上回った。
施設維持のための利用料金について、「周辺施設より高い料金でも可」「周辺施設同等であれば値上げ可」と値上げを容認した人の割合は61・2%。運営や改修にかかる費用に関しては、「利用者や維持したい人に支払ってもらう」「クラウドファンディングなどを活用する」といった意見が7割に上った。
他方、「スケート場を廃止して他の施設を希望する」「公共施設として赤字経営するべきでない」といった回答もあった。アンケートの結果を受けて市は今年度中に同施設の在り方について方向性を示す意向。
市スポーツ推進課の白井由美課長は「多くの人に愛されていると感じる一方で、廃止を希望する声もあった。市の財政を考えて慎重かつ迅速に検討したい」と話した。
同アリーナの指定管理者である淵野辺公園グループ運営共同企業体の担当者は「存続を望んでいる声が過半数以上ありうれしく感じる。市内の小学校に実施しているスケート教室事業では、子どもたちの心身の健康増進などを果たしており、施設の役割は大きいと感じている」と維持することの意義を述べた。
同施設を拠点に活動する相模原スピードスケートクラブの池英徳監督は、「採算が取れるラインまで収益化を図る議論をした上で、継続か廃止かを問うべきところと考える」と話した。
さがみはら中央区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|