藤野地区、陣馬山麓の里山に佇む古民家「なじくぼ」(緑区吉野)を後世へとつないでいくためのプロジェクトが10月23日に発足した。「本来の自分を取り戻すリトリート」をコンセプトとした自然体験拠点「サステナリート・ナジクボ」へと再生するための支援を現在、クラウドファンディング(クラファン)で呼び掛けている。
明治時代初期から続く築150年の古民家は、同地区で旅館「陣渓園」を経営する大木康敏さんの生家。先祖は養蚕と林業を営んでいたが、56年前に先代が車で5分ほど離れた地で旅館業を始めると生活の拠点も少しずつそちらへ移っていった。現在は旅館業の傍ら、裏山で育つ柚子を使った体験イベントや藤野の特産品作りを行っている。生活の拠点は移っても時々足を運び、風を入れ、家の維持管理に努めてきた大木さん。「私を育ててくれた大切な場所だからね」。ただ、年齢を重ねるうちに管理することに不安を感じるようになっていた。
今までも映画やドラマの撮影、地域イベントなどで家を開放してきた。大木さんにとって「日常」の里山暮らしは今の時代、とても貴重とされ、憧れを抱く人も多い。「なじくぼ」を活動拠点の1つとして数年前から山野草採りや手揉茶体験を企画してきたNPO法人「自然体験学校みどり校」の土屋拓人代表やスタッフたちとはお互い良い相談相手になっていた。近況を話すうち、「この古民家を未来へ残したい」という想いが強くなり、再生プロジェクトへの挑戦を決めたという。名付けて自然体験拠点「サステナリート・ナジクボ」。サスティナブル(持続可能な)とリトリート(本来の自分に戻るための時間)を掛け合わせた造語だ。
まず第1弾として急斜面にある柚子の収穫体験をスムーズに行うために必要な、農業用モノレール設置工事費用の一部をクラファンで集めることとした。期限は12月16日(金)までとし、翌日の17日(土)には「お披露目会&モノレール試乗会」を開催する。大木さんは「150年続いたこの家が200年、300年と後世へつないでいけたら」と目を輝かせた。
今後、プロジェクト第2期に建物の内装や地元特産品を集めたセレクトショップ開設、第3期に建物の補強や補修工事、天井裏の改装などに取り組む予定となっている。
クラファンの詳細は【URL】https://camp-fire.jp/projects/view/632474、問い合わせは古民家なじくぼ運営事務局【メール】info@najikubo.jp。
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