市内を中心に分譲住宅を展開する美都住販(富士見)はこのほど、「福祉建築」の部署を創設し事業展開を本格化することを発表した。需要がありながら、作る側の数が少ないという業界の課題解決に力を入れていく。
増える障害者
相模原市が2020年に発表した第4期地域福祉計画によると、障害者数は増加傾向にある。14年の調査では3万4573人。19年には3万9552人となり23年は4万4623人になる予想が記されている。
そのように障害者の数が増える中、受け入れる施設は「少ない」と言われている。福祉関係の事業者間では「建てる場所がなかなか見つからない」という声がよく聞かれるようになったそう。
それまで主に一般住宅を手掛けてきた同社は「必要とされる住まいが足りない」供給不足の状況を知ると、事業化の検討を始めた。「福祉建築がなぜ増えないのか」。今年に入り課題を探る中で、土地探しに難航するのと同時に「建てる際、地域の理解が必要となる。それが一つのハードルになっている」ということがわかった。
社会進出支援
同社は相模原エリアで多くの建築実績を持ち不動産業界に明るく、土地を持つ地主とのつながりも少なくない。「我々が建物、土地を求める事業者と地主さんや投資家の間に入る。マッチングサポートをすれば課題を解決していける」(担当者)。夏頃から事業展開の速度を上げこの秋、ブランド化を発表。スタッフを配置し11月から本格的な稼働を始めた。施設を増やしていくことで、障害者の社会進出の支援ができると考えている。
規格商品として主に提供していこうと考えているのは、中小規模のグループホーム。木造で一見、住宅を思わせる造りで、その部分は同社の一般住宅建築で培ったノウハウが生かされている。現在複数の案件が進行しており、すでに完成した施設もある。
充実した生活を
この福祉建築事業のブランド名は「クオルファースト」(QOL first)。クオルは「クオリティオブライフ」(Quality Of Life)の略で「生活の質」などと訳される。担当者は「福祉住宅を建築し充実した生活、サービスを受けていただきます。QOLを最優先にサポートしていきたいです」と話した。