専門病院に聞く
2月22日は猫の鳴き声「にゃんにゃんにゃん」にちなみ「猫の日」とされている。中央区田名の猫専門病院「たんぽぽキャットクリニック」の椿直哉院長に昨今の課題や改めてその魅力などを聞いた。
―まずは先生の「猫歴」を教えてください
「大学3年生の時から猫と暮らしています。ともに暮らしてきた代々の猫はすべて保護猫で、現在は10頭と暮らしています」
―日々猫を診察されていて、昨今の課題など何か察するところはありますか
「家猫さんたちの平均寿命は16・02歳(ペットフード協会2022)と、長生きになってきました。その分、病気療養をする猫さんたちも増えてきます。多岐にわたる治療法の中から、どれを選択するかがとても難しくなってきました。治療法を検討するにあたって考慮するのは、飼い主さまの介護負担、費用的な負担、そして何よりも猫への投薬・処置・通院などの負担です。『なんでもすべてやってあげたい』と人間が思っても、猫が受け入れてくれないこともあるし、やればやるほど、飼い主さまと猫との心の距離が生まれてしまったり。各治療法のメリット・デメリットをよくお話しながら、検討する必要があると思っています」「私自身、多くの猫を看取ってきた中で、最期の局面を思い描きながら、『この子と飼い主さまにとって最良の選択はどれか』と考え、ご提示するように心がけています。こうした診療のあり方は、年間1000件以上、猫さんたちだけの診察を経験してきたからこそできることだと自負しています」
何もしない
―猫と触れ合ってきて良かったことなどありましたら教えてください
「家の中をウロウロしている猫たちのお世話は、食事とお水、トイレ掃除ぐらいのもの。あとは何もしてやる必要がありません。なでてほしいときは自分から近づいてきますし、一緒に寝てくれることもあります。人の体内では、動物と触れ合ったり、見つめ合うことで、幸福感や安心感を与えるホルモン『オキシトシン』が分泌されることが分かっています。普段から一緒にいるだけで癒やされているわけです」「ペットと暮らしている人とそうでない人とを比較した研究によると、動物と暮らしている人は『心臓発作を起こしたあとの生存率が高い』(1980年)、『コレステロールや中性脂肪が低い』(92年)、『飼い主の医療費が下がる』(85年)など、健康上のさまざまなメリットが得られることが科学的に証明されています。またつい先日、東京都健康長寿医療センターから『犬猫を飼っている高齢者は、飼っていない高齢者にくらべて、介護費が半額になる』という研究結果が発表されました。ペットから得られる様々な刺激が、人の健康によい影響を与えているものと考えられます」
保護活動支援を
―最後に猫好きの方に伝えたいメッセージなどありましたらお願いいたします
「最近は保護猫を迎えようというご家庭が増えています。猫の保護活動をしている我々としてはとても嬉しいです。一方で、猫が大好きなのに、様々な理由から一緒に暮らすことを断念されている方がいらっしゃいます。そういった方々はぜひ、たんぽぽの里(開放型保護猫シェルター )へお越しください。そして猫様のために尽くしてみてください(笑)。そこでのボランティアには、たんぽぽの里で直接お掃除やお世話を手伝っていただくのはもちろん、物資の寄付、SNSやウェブでの里親募集のサポート、『フォスター制度』と呼ばれる、猫たちの一時預かりなど、色々な形があります。フォスター制度では、持病のある猫さんや高齢の猫さんを一定期間、ご自宅で預かっていただきます。猫たちは、シェルターよりも遥かに良い環境で生活できるので、皆様から温かい手を差し伸べていただければ幸いです」
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