認知症を市民に理解してもらい、地域ぐるみでサポートできる体制を整えるため、市はさまざまな取組を行っている。その中心となるのが「認知症サポーター養成講座」だ。市はボランティア団体などと協力して同サポーターを養成。3月末時点で市内で5万8551人が登録する。ここ数年はコロナ禍の影響もあり、登録者数は減少傾向となったが、昨秋から講座の回数も増え、登録者の増加数は以前の水準に戻りつつある。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」 の推計では、65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人、25年には約675万人(有病率18・5%)と、約5・4人に1人が認知症になると予測されている。
そうした中、厚生労働省は、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」を全国で養成する認知症サポーター制度を2005年にスタートした。地域住民、金融機関やスーパーマーケットの従業員、小・中・高等学校の児童・生徒など、さまざまな人が受講し、3月末時点で全国で約1千450万人がサポーターとして登録されている。
毎年5千人が目標
相模原市もこうした取り組みを推進するため、養成講座を開催している。開催当初はなかなかサポーターの数は伸びなかったが、市はボランティア団体や地域包括支援センターなどと協力して事業を推進。その協力団体として、中心的な役割を果たしているのが2013年に発足した「さがみはら認知症サポーターネットワーク」(佐藤隼代表世話人)だ。同団体は、「認知症になっても安心して暮らせる街・さがみはら」の実現をめざして、養成講座の開催など、さまざまな活動を展開し、サポーターの拡大に貢献している。
さらに、市は、認知症サポーター養成講座の講師役となる「キャラバンメイト」が活動しやすい体制を整備しするため、2015年に「相模原市キャラバン・メイト連絡会」を発足。15年以降、徐々にサポーターは増え、6万人近くがサポート登録している。
ここ数年は、コロナ禍で講座の回数も減り、登録者数は減少。しかし、コロナ禍でオンラインでの講習も新たに加わるなど、昨秋から登録者数は回復傾向に向かい、コロナ以前の水準まで戻りつつある。
佐藤代表は「年間5千人のサポーターの養成を目標に活動してきたが、コロナ前は企業や学校などが協力的で、8千人を超えた年もあった。コロナの感染状況も落ち着きを見せ始め、講座の開催依頼も増えている。今後も積極的に講座を開催していきたい」と話す。
開催する講座は、主に市や同ネットワークが主催する定期講座と、学校や企業、自治会、各種組合などから依頼(5人以上であれば受付可能)があった場合に行う講座の2種類。1時間30分ほどの講義を受講すると、サポーターとして登録される。
同ネットワーク事務局の井戸和宏さんは「認知症は症状もさまざまで、一般に本当の意味では理解されておらず、自身や家族がなった場合、不安しかないと思う。地域で支える仕組みがあれば、そうした人や家族の助けになると思うので、ぜひ講座を受けて欲しい」と話した。
同養成講座事業に関する問い合わせは、相模原市キャラバンメイト連絡会事務局【電話】042・707・1603。
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