大手も図書館も
淵野辺駅北口には、かつて松井書店をはじめとした書店や古書店など、複数の「本を扱う店」が点在していた。南口にはお馴染みの「市立図書館」。今も「大手」有隣堂があり、少し駅から歩けば、古書店「りら書店」も「健在」。今も昔も淵野辺は本が身近な地域といえる。
駅北口、高い木々による緑の屋根が涼しい「フルヤゴルフガーデン」。その近くに、手書きの看板と、ガラスの奥に覗く木材を活かした内装が親しみやすい「古本屋カフェ サニーデイリング」がある。
同店がオープンしたのは2015年。全国的に書店が減少している状況の中、古本屋を開いた岩崎翔さんは、「古本屋は、好きなもの以外のものと出会える場所」と話す。「今まで知らなかったもの、興味のなかったものと偶然に出会うことができる、それが古本屋の魅力」
人々をつなぐ
おしゃべり好きな岩崎さんのもとには、日々さまざまな人が訪れる。常連同士が仲良くなることも多く、近隣の学生たちは卒業後も遊びに来るとか。「いつの間にか『地域の交流の場』みたいになっている」そうだ。
かつて星が丘にあった「ブックセンターいとう」で働いた経験もある岩崎さん。開店からの日々を「そもそも『仕事しながら本が読めたらいいなあ』と思って始めたけれど、いろいろな人が来てくれて、出会いがたくさんあった」と振り返る。近所に住む人はもちろん、出版に関わる職業の人が遠くから訪れることもあるという。
淵野辺は「ちょっと変わった街」と岩崎さんは言う。「子育て世代、学生、会社員と、全世代が暮らしていて、さまざまな世代の文化が混ざっている」。古本屋にも教科書、漫画、小説、絵本、雑誌と多種多様な本が集まる。「学生が絵本を見ていたり、専門的な教科書を会社員の方が読んでいたりする。自然と他の世代の文化に触れることができる街なのかも」
ちなみに店内にある獣医学に関する本は、近隣にある麻布大学の学生が卒業するときに置いていったもの。「次の新入生が使うんです」
夏のイチオシ本
猛暑日が続くこの夏は、涼しい部屋の中で読書なんていかが。せっかくなので、淵野辺で本に携わる方々に「この夏イチオシの本」を紹介してもらった。
「サニーデイリング」店主の岩崎さんが選んだのは、『座敷女』(望月峯太郎/著・講談社)。「やっぱり暑い夏にはホラーでしょう。『座敷童子』ではなく『座敷女』。幸福ではなく不幸を招きます。『ヒト怖』でも『心霊』でもない『都市伝説的イヤ〜な恐怖』を是非」
市立図書館で司書を務める岩永知子さんが選んだのは、『その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』(松橋利光/著・大和書房)。
「子どもの頃、夢中でカブトムシを追いかけていたのに…なぜか今は怖くて触れない。そんな大人にこそおススメの本です。この夏、生きものに触れる感覚を取り戻してください」
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