相模原市は脱炭素社会の実現に向け、今年度から市内16の公共施設で再生可能エネルギーによる電力メニューの使用を開始した。市は事業の周知を目的に8月から対象施設にステッカーを掲出。市民の意識啓発を図る。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量削減を目指す「脱炭素社会」。市は2020年に「さがみはら気候非常事態宣言」内で2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す決意を表明し、2021年には達成までの道筋を示す「さがみはら脱炭素ロードマップ」を策定するなど、取り組みを推進してきた。
そのような中、市役所本庁舎や南・緑区合同庁舎、各まちづくりセンターなど市内公共施設の電力について、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを100%使用した電力メニューとする提案を電力会社から受け、市が採用を決定。今年度から運用を開始した。対象となる16施設が年間で使用する電力見込み量は約690万キロワットに上り、約3100トンの二酸化炭素削減が見込まれている。
市ゼロカーボン推進課は取り組みを周知し、市民の脱炭素社会に対する意識を向上させようと「この施設は再生可能エネルギー100%の電気を使用しています」と記載したステッカーを作成。8月から当該の施設に貼付している。同課では「市が率先して行動を起こすとともに、意識を変えてもらうよう尽力したい」と話している。
「考え直す機会に」
同課によると、再生可能エネルギーには環境問題への貢献というメリットがある一方、供給が不安定な点が課題として挙げられる。例えば太陽光発電量が縮小する夕方以降も電力の需要は高い傾向にあり、需給のバランスが乱れやすいという。
同課では「電力の需給バランスを調整するために消費者が使用量に配慮する『ディマンド・リスポンス』が重要」とし、「ステッカーでの啓発をきっかけに、普段何気なく使っている電気について考え直すきっかけになれば」と期待する。
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