今年春に市内のキャンプ場で発生した倒木事故を受け、相模原市はこのほど、見た目からは危険が判別できないものの倒木の恐れがあるとして街路樹180本を伐採すると発表した。街路樹の老木化が進んでいるほか、近年ではナラ枯れの問題が深刻化している。
緑区のキャンプ場で今年4月、高さ18メートルの木が倒れ、テントで寝ていた夫婦が下敷きになり、20代の女性が亡くなる事故が起きた。木が倒れたのは根元の腐敗が原因とみられている。
相模原市はこの事故を受け、4月から5月にかけて外観上明らかに危険と判断した街路樹133本を伐採。6月から9月にかけては、サクラやナラ類など外観から危険を判別できない樹木について市全域で専門家(樹木医)による緊急点検を行った。その結果、点検を行った1420本の中から、外観からは判別できないが、倒木の危険がある街路樹を180本を特定した(中央区が11本、緑区は148本、南区は21本)。
相模原市では市内の事業者に委託して12月から順次、伐採していく計画。対象となる街路樹には事前に周知用の看板を設置し、市民に理解を求めいていくとしている。
ナラ枯れ深刻化
倒木による事故は近年、全国で相次いで発生している。こうした事態を受け、都市部を中心に街路樹の伐採に踏み切る自治体も少なくない。
急激に宅地化・都市化が進んだ高度経済成長期に緑化活動の一環で街路樹の整備が進んだ。当時植えられた樹木は現在では樹齢50〜60年が経過している。また相模原市内では虫が媒介する菌によってコナラなどの木が枯れる「ナラ枯れ」の被害が深刻化。2017年に初めて市内で確認され、わずか数年で急激に被害が広がっている。
市道路計画課によると、イチョウやケヤキは葉が落ちるなど外観に変化が現れるため随時対応できるが、老木化によって幹の中が空洞化するサクラは危険が分かりにくいという。同課の担当者は「現時点で危険性がないものについても定期的に点検を行い、危険防止につなげていきたい」と話している。