相模原市立田名中学校の吹奏楽部が8月9・10日に横浜市内で行われた神奈川県吹奏楽コンクールの中学A部門で最高賞の朝日新聞社賞を受賞した。市内の中学校が「県で1位」を意味する同賞を受賞するのは史上初の快挙だ。同部は神奈川県代表として、9月8日に栃木県で行われる東関東大会に出場する。
田名中は一昨年の県大会で銀賞、昨年は金賞を受賞。成長を続けてきた中で、今年ついに栄冠を手にした。副部長でトランペットを担当する天野夢菜さんは「市大会では普段しないミスが多く、いい演奏ができず悔しい思いをした。保護者の方や地域の方にも協力していただきながら、一生懸命練習してきた」と振り返る。
「一体感」武器に
53人の部員全員で決めた今年の目標は「全国大会出場」。そのために顧問の榊原聖人教諭が掲げているのが「圧倒的一体感」だ。全国レベルの学校は、「細かいところが完璧に揃っていて一体感がある」という。部員たちは「一体感」を追求するため、話し合いながら場面ごとに細かい決めごとを設定。「みんなで決めて、みんなで守る」という意識で練習に取り組んできた。
迎えた県大会で発揮したその「一体感」は、副部長でパーカッションの水越義政さんが「こんなに完成度高いことがあるのかというくらい、演奏している間からすごくいい演奏ができている実感があった」と話すほど。審査員からも「合唱が聴こえてくると錯覚を起こすくらい美しいサウンド」と高く評価された。
昨年の東関東大会では、4位で惜しくも全国大会出場を逃した田名中。今年は「朝日賞」受賞校として臨むことになる。演奏する自由曲は、スミスの交響曲第2番『オデッセイ』。「キラキラした場面や切ない場面、ファンファーレが響く戦いの場面とストーリーが浮かぶ曲。部員全員で一丸となって、感動を届けたい」と部長でパーカッションの中嶋咲絢さん。「今までで一番の演奏を」。部員たちの気持ちはひとつだ。