障害が有る無しに関わらず学ぶ楽しみの場を提供する生涯学習講座「大学で学ぶ楽しみ発見セミナー」が9月28日に相模女子大学で開講した。特別支援学校高等部を卒業した知的・発達障害のある若者に大学で学びの場を作ろうと、同大学では6年前から実施している。
知的・発達障害のある人なども含め中学生から30代まで約30人が参加したこの日の講座は、同大学の井坂聡教授によるカメラ撮影技術の講義、特別支援学校高等部卒業生で現在IT企業に勤める男性の話を聞く就労ワンポイント講座、「私の趣味自慢タイム」と題したワークショップが行われた。
趣味自慢タイムでは各テーブルでアイドルの「推し活」や交通ICカードの履歴収集など、それぞれの趣味を披露。平塚市から参加した大木知幹さん(27)は「自宅から機材を持ち込んだDJを披露したらかなり反響が良かった。アニソンや猫、みんなの趣味の話が聞けて面白かった。また参加したい」と感想を話した。
この事業が始まったのは2019年。同大学人間心理学科の日戸由刈教授の元に、当時、横浜市立若葉台特別支援学校(横浜わかば学園)で教諭を務めていた川口信雄さんが「卒業生の中には、本当は大学で学びたいという声が少なくない。知的・発達障害の若者と学生が一緒に学ぶ場を作ることはできないか」と相談したことがきっかけ。21年度から国から委託を受けた相模原市との連携事業として実施している。
現在、この事業の企画運営は同ゼミの学生や卒業生、横浜わかば学園の卒業生らが担っている。全4回にわたる講義の内容を決め、当日の様子の動画撮影や参加者への取材、発信などを行っている。
昨年から参加している丹沢桜子さん(4年)は「(当事者と)始めはコミュニケーションが難しいのかなと思ったけど、全く問題ない。むしろ自分たちより積極的に意見を伝えている」と話す。
同事業のコーディネーター役を務める武部正明准教授は「学生たちは違和感を感じることもあると思う。逆に自分と同じ部分やリスペクトできる部分を一緒に話すことで自分が感じるとることが大切」とプログラムの意義について話す。
今後のセミナーは11月9日、12月7日に開催される。参加申し込みは同大学へ。
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