日本画家として生涯、作品を描き続け、現代美術家協会(現展)の代表も務めた大貫博さん(享年72・緑区大島出身)の追悼展が相模原市民ギャラリーで開催される。仏画や抽象画を多く手掛けた大貫さんについて妻の晴子さんに話を聞いた。
仏画との出会い
大貫さんは1949年生まれ、日本大学芸術学部卒。1974年の東京都美術館霹靂展入賞後、東京展優秀賞や現展賞など数々の賞を受賞。2011年からは亡くなるまで現展代表も務めた。
デザインを学んでいた頃、大貫さんは日本画家・狩野芳崖の作品「慈悲観音像」と出会い、大きな影響を受ける。以降、独学で仏画を描くようになった。「仏画師と言われることや宗派を聞かれたりするのが本人は嫌だったようですよ」と晴子さんは言う。
大貫さんが表現しようとしていたのは「仏の持つ神秘性や宗教性ではなく、仏の世界が創り出す壮大な宇宙観だった」と話すのは、遠戚であり、生前の姿を知る元学芸員の柳川雅史さん。今回の作品展でも自宅に眠る作品の調査や展覧会の準備を一手に担った。
柳川さんは相模川の河原で大貫さんを見かけることが時折あったと言い、「大貫さんは自然と同化し石と対話しているようだった」と振り返る。「大貫さんは自然が創り出す表現に美を感じていたのではないか。自然が生み出す造形に人間の手は遠く届かない。大貫さんの制作活動は悟りを開いた仏師のような境地で行われていたのかも」と推測する。大貫さんは生前、「人間の創造を超えたところに自然はある」とも語っていた。
もともと、大沢小、大沢中の同級生だった晴子さん。「子どもの頃から絵がうまかったですね」と懐かしむ。今回の追悼展に際し「こういう画家が地元にいたんだと、少しでも多くの人に知ってほしい」と語った。
「創造の足跡」
「大貫博追悼展―創造の足跡―」が11月1日(金)から5日(火)まで市民ギャラリー(相模原駅ビル内)で開催される。午前10時から午後7時(最終日3時)まで。問い合わせは大貫さん【携帯電話】090・4529・9278。
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