相模原市は12月26日、公共工事の安全対策報告書(中間とりまとめ)を公表した。昨年9月19日に市内で発生した下水道工事中の死亡事故を踏まえ、民間気象会社の気象情報通知サービスの活用などが対策案として挙げられた。市はルール化に向け検討を進める。
事故は市が発注した公共下水道管きょの耐震化工事中に発生したもので、大雨に伴う管きょ内の急激な水位上昇により2人の作業員が流され死亡した。
市は事故を受けて学識経験者らで構成される安全対策検討委員会を10月17日に設置し、3回の会合で事故経緯の整理と対策案の検討を行った。
委員会は事故要因として気象情報などのリスク情報を十分に収集・分析できていなかった可能性や、気象情報の収集などを行う地上監視員と現場作業員の連絡手段に課題があったこと、避難行動の明確な基準の不足などを挙げた。
事故の再発防止に向け委員からは、民間気象会社のサービスを活用した気象情報の収集や、地上と作業現場間の連絡手段となるトランシーバーなどの動作確認の徹底、作業の中止基準の厳格化などの対策案が示された。
現場から離れた上流域、周辺域における降雨や雷の観測結果を通知する仕組みなど、民間気象会社のサービスの導入をルール化することになれば、全国的にも珍しい取り組みになるという。
市は来年度の工事から契約条件などに反映するため、対策案の具体化に向けた検討を進める。
また委員からは、工事の受注側の安全対策に加え、発注者である市の側も、下水道の集水範囲などの情報提供や工事現場のパトロールなどを行うことが望ましいとする意見が出された。
「全国の模範に」
昨年元日に発生した能登半島地震では断水が長期化し、国土交通省は上下水道の耐震化を加速する方針を示した。気候変動に伴い雨の降り方も変化しており、市の対応は全国的にも注目を集めている。市は、「模範となって再発防止に取り組んでいく必要がある」としている。
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