相模原市を拠点とするJリーグクラブ・SC相模原でプレーし、昨季限りで現役を引退した瀬沼優司さんが今春、「介護職員」として新たなスタートを切った。転身の背景には、「地元・相模原」への強い思いがあった。
最後は地元でプレー
瀬沼さんは上南SC、上溝南中出身。プロサッカー選手として清水や横浜FCなどでプレーしたのち、2023年夏に相模原に加入した。24年は主将を務めたが、クラブが目標としていたJ2昇格は果たせなかった。当時を振り返り、「『昇格か、10得点以上』という目標を課していた。地元でプレーする喜びも実感していたが、目標を達成できず、以前から身体が動かないと感じていたこともあり、自分は退いて新たな野心のある選手が加入した方がチームにとって良いのかなと考えた」と話す。
姉と設立した事業所
かねてから「何か地元にできることをしたい」と考えていた瀬沼さんは選手時代の21年、長年介護職に従事する姉の愛さんとともに介護事業所「株式会社セヌー」を設立。現場は主に愛さんが担い、2人で支え合って事業を展開してきた。現在は6人のスタッフを抱え、主に訪問介護や居宅介護、自費サービスを提供している。
引退を決めた後、本格的に介護事業に携わることを考えた瀬沼さんだが、当初は「現場に出る」とは考えていなかった。きっかけとなったのは、最初の訪問先で利用者からかけられた感謝の言葉。「サッカーとは違うとてつもないやりがいを感じたと同時に、自分の力不足を感じた」
今後の事業展開として自費サービス拡大などを見据え、現在は愛さんに同行してケアを学んだり資格の勉強をしたりと技術向上に励む。「少しでもお世話になった地域の人たちの役に立ちたいので、そのためにもっと技術を高めたい。サッカーも介護も突き詰めることに終わりがないという部分は同じ」。チャレンジを続ける弟の姿に愛さんは「すごく楽しそうに働いている。体力があって頼もしい」と期待を寄せている。
クラブでの役割も
「サッカーとのつながりは切れない」。SC相模原の「ジモトアイアンバサダー」としての活動も続ける。イベント参加や学校での講話などを通してクラブと地域をつなぐ役目だ。「クラブができた時から特別な思いで応援していたので引退後も関わることができるのは嬉しい。クラブをもっと知ってもらえるよう地域との繋がりを深めていきたい」
![]() (下)2024年、相模原でプレーする瀬沼さん
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