合議制裁判の実現は市民全体の願い――。横浜地裁相模原支部での合議制裁判と労働審判の導入を求め、47団体で組織される協議会が3月11日、同地裁(横浜市中区)に対して要望書を提出した。7742筆の署名を携え、市民が早期実現を切実に求めていると訴えた。
県内で唯一未実施
3人の裁判官が事件を審理する「合議制裁判」は、1人の裁判官が審理する「単独制」に比べて「慎重かつ迅速な審理が受けられる」とされる。相模原市と座間市を管轄する横浜地方裁判所相模原支部(富士見)では1994年の設立以来「単独制」が採用されているため、医療過誤や建築紛争などの判断の難しい民事訴訟事件や重大な刑事事件などは横浜市内の同地裁で審理することになる。時間的・金銭的に負担が大きいことに加え、同支部での審理中に合議制での審理が必要だと判断された場合には裁判が大きく長引くケースもある。
市と県弁護士会相模原支部はこれまで20年以上にわたり合議制の実施に向けて活動してきたが、実現には至っておらず、2006年に開始した労働者と雇用主のトラブルを解決する労働審判も実施されていない。
県内4支部のうち合議制が行われていないのは相模原のみで、全国の政令指定都市でみても相模原のみ。県弁護士会相模原支部の齋藤守支部長は「誰もがトラブルに巻き込まれる可能性はある。いざというとき他の地域と同等のサービスが受けられないことは市民にとって不利益」と話す。
署名7742筆
こうした中、23年に行政と各士業団体や経済団体、住民団体、奉仕団体など47の団体で構成される協議会が発足。早期実現への機運を高めるため、昨年7月に座間市内でシンポジウムを開催するなど周知活動を続け、昨年3月からの約1年間で7742筆(2月末時点)の署名を集めた。
今回の要望活動には両市長をはじめとする協議会員約20人が参加し、署名と要望書を提出した。要望書では、「管内の人口と取扱件数ともに相模原支部よりも少ない支部で合議制が実施されているにもかかわらず実施されていない」と指摘。「1年余りで多くの賛同を得られたことは本管内の市民が早期実現を切実に求めていることの現れ」と訴え、改めて早期実現を強く要望した。
齋藤支部長によると同地裁の大竹昭彦所長は当日欠席し、代行人が対応した。大竹所長の欠席理由や現在の検討状況に関する質問に対しては「最高裁へ伝える」「内部のことで返答できない」とされ、未実施の理由については「現時点では合議制に適した人的物的体制になっていない」というものだったという。
同協議会は今後、最高裁への署名の提出と要望活動を予定しているほか、地域団体への声掛けや市民への周知活動を進めていくとしている。
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