神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

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NPO法人八王子つばめ塾の理事長で、無料塾「淵野辺つばめ塾」の事務局長を務める 小宮 位之(たかゆき)さん 八王子市在住 39歳

公開:2017年5月4日

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地域の「寺子屋」の様に

 ○…どの子にも平等に教育の機会を―。無料の学習塾を運営するその思いと取組は、メディアで取り上げられることも増えてきた。開講においては地元企業からの会場提供、市民からのボランティア講師の申し出など、多くの人々の協力を受けた。「本当にありがたい限りです」と感謝を述べ「僕の理想は地域の子どもは、地域の大人が育てること」と考えを示す。「僕じゃなくてもいい。取組みが全国で広がれば嬉しい」。ゆくゆくは地元の人に運営を任せる考えだ。

 〇…自身も貧困家庭で育つ。塾には当然通えなかったが、子どもながらに「世の中のことは知らないといけない」と感じ、小学3年生から新聞を読むのを習慣に。大学卒業後は、非常勤で高校教師をしながら、映像制作会社で報道に携わったことが現在の「根」。ウガンダの少年兵や東日本大震災の取材で目の当たりにした壮絶な現実が理想の火を灯した。「少しでも自分にできることはないか。直接的でなくても継続的に人の役に立つには」―。問い続けた。

 〇…ボランティアを通して知り合った妻と結婚して暫らくに、義母が運営する学生寮に空きがでたことが転機に。机と椅子とホワイトボードが残る部屋で「教育ならすぐにできる」と基盤となる「八王子つばめ塾」を開いた。環境が整うまではアルバイトをしながらの塾運営。苦しかったこともあったが妻の一言に勇気づけられた。「高い給料をもらう中で活動をしても貧しい子どもたちの本当の気持ちはわからない」。その言葉で自分にあるべき心構えと本質に改めて気づかされた。

 〇…無料塾をはじめて約5年。設立当初から通う生徒に志望校合格の知らせを受けることも増えた。休みはほとんどない毎日も「充実しています。熱心に学ぶ子どもたちをみると、本当に嬉しい」と笑顔をこぼす。「少しでも多くの子どもたちのために。地域の寺子屋の様に無料塾が広がれば」。エネルギーは尽きない。

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