淵野辺駅南口周辺のまちづくりについて、市立図書館(中央図書館)をはじめ、まちづくりセンター、公民館を集約し、近接の鹿沼公園内に複合施設として設置する構想が市によってまとまったのを受け、このほど事業化の検討に向けて本格的に動き出した。都市計画課では、既に5月の大野北まちづくり会議などの公の場で初めて事業内容を説明。住民の多くが賛成の意向を示していることから、市は今年度中をめどに検討事案となるよう案を取りまとめる考えだ。
同駅南口周辺のまちづくりを巡っては、東日本大震災の地震で図書館が損傷を負ったことで、築40年を超す付近の公共施設の老朽化による劣化を危惧する声が上がり、まちづくり会議などで図書館の移転を含めた再整備が度々議論されてきた。その後、補給廠返還地に図書館などの公共施設が移転する案が生じたため、文教空間のまちづくりを図る淵野辺駅北口の商店街・にこにこ星ふちのべ協同組合(現・商店会)の茅明夫元理事長らが近隣の建設業者や公共施設関係者の有志を集め、勉強会として2014年に「「サザンクロスプロジェクト」を発足。再整備について議論を重ね市に要望書を提出していた。
今回、事業検討に向け動き出すことになったのは、16年5月に都市公園運営の在り方について国が柔軟な姿勢を示したのを背景に、公共施設整備を求めて地域で声が上がっていたことや、商業地として用途指定している同駅南口周辺の本来の土地利用を促し、賑わいづくりを進めたい市の方針も重なったためで、事業検討に向けた機運が一気に高まった。構想を推進する声が国から上がったのも追い風となった。
「文教地区」らしい商業地に
事業構想では、鹿沼公園内の鉄道公園付近に公共施設を含めた複合施設を建設。同時に駐輪場も移転させる。新施設となるため、建替えとは違い閉館中の代替地を検討する必要もなく、費用を抑制できるのも利点だ。各施設の移転後の用地については民間への売却を予定。同事業は商業地としての活性も主眼に据えていることから、担当課では商業施設を複合化したマンションなどを視野に入れている。民間活用によって得られた収益の一部は、公園などの維持管理費に充当し安定的な運営を図りたい考えだ。
同駅南口周辺には近隣の3大学に加え、国際交流施設、博物館、JAXAなどが位置していることから市は「文教地区」と捉えており、地域住民もその思いは強い。そのため、担当課では住民からの声を反映し、「文教空間にふさわしい商業地にしたい」と話す。今後は、市が事業検証を行い、承認されれば本計画の作業に移行させる見通し。今年度中の取りまとめを図る。
事業が前進したのを受け、茅さんは「大野北地区が学園都市をめざす中で、そのシンボルとなる図書館が他地区に移転する心配があったから、住民の力が一つになったのだと思う。文教地区であるために、淵野辺の図書館をしっかり後世に残せるよう、できるだけ早期に実現できれば」と話し、期待を込める。
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