東京で9日から開催される「パンパシフィック水泳選手権」への出場に向け、ブラジルの競泳選手団が8日まで相模原市で事前キャンプを実施した。市では初となる海外のトップアスリートによる合宿だったこともあり、スケジュール調整などの難しさがあったものの、選手からは施設面を評価する声が上がったほか、歓迎レセプションや市民交流事業などでは両者の友好関係が深まるなど今後に向けて一定の成果を得る機会となった。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックをめぐり、市はブラジルとの協定の締結により、選手団の事前キャンプとして8種目の競技を受け入れることが決まっている。今回の来相は五輪の事前キャンプに向けてのテストとなるもので、7月30日から8月8日までの期間で実施。市側は選手たちの練習スケジュールの変更への対応などで難しい調整を迫られたが、選手からは五輪の条件を十分に満たしたプールなどを挙げて施設面を評価する声が上がったほか、食事面でもブラジル人シェフとの協議のもと、毎日のメニューを組み立てるなどして好評を得たという。
一方、このキャンプはブラジルと市との友好関係の構築の点でも大きな成果が得られた。7月31日に南区で行われた市主催の歓迎レセプションでは市や市議会議員ら関係者に加え、市内の大学生ら25人のボランティアスタッフ、市水泳協会の小学生10人が詰めかけ、盛大に開催。開会とともに光明相模原高校和太鼓部の豪快な打音によって会場が盛り上がりを見せた。あいさつでは加山俊夫市長が「ブラジルに日本人が移民して110年を迎える節目の今年に選手団を迎えることは光栄」と述べた上で、「ブラジルの皆さんにとって相模原市が第二のふるさとと思ってもらえるよう取り組みたい」とし、市として今後も選手を力強く支えていく決意を強調した。
続いて、選手団を代表してブラジル五輪委員会国際競技大会運営アナリストのイズィ・ボアベントゥーラ氏が登壇。施設関係者や市民が温かく受け入れたことに感謝を口にし、「五輪だけでなく、今回が未来への大切な友好の始まりと考えている」と話すと、会場からは大きな拍手が送られた。
市内出身で、会に参加したリオ五輪・男子板飛び込み日本代表の坂井丞選手はリオ五輪出場を振り返り、「またこうしてブラジルとめぐり合えるのは何かの縁。今後は一緒に練習することもあると思うので、自分の刺激にしたい」と話し、前を見据えた。
五輪選手、子どもにエール
会ではブラジルの家庭料理も振舞われ、選手が笑顔を見せる中、市水泳協会の子どもたちが選手と元気に写真を撮る姿もあった。協会に所属する小原萌楓(もえか)さん(11)は「選手と話せて嬉しい。私も大会があるので、共に良い成績が残せるように頑張りたい」と意気込んでいた。昨年行われた世界水泳選手権の50m平泳ぎで2位に輝き、パンパシにも出場するジョン・ゴメス・ジュニオール選手は本紙の取材に応じ、相模原の子どもたちへ「私は小さい頃から五輪をめざし、これまであきらめずに頑張ってきた。そして30歳で初めて五輪に出場した。次の34歳ではメダルを狙う。だからみんなも、あきらめずに頑張ってほしい」とエールを送った。
テストキャンプ中は選手団と市民との交流事業も実施。代表コーチによる特別指導や、小学生が代表選手にインタビューするといった企画などで親睦を深めた。
今秋には女子バレー団が大会前のキャンプで来相する。担当課では選手の安全面に配慮しながら、引き続き市民との交流機会を増やしていく考えだ。
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