2027年、東京―名古屋間の開業をめざすリニア中央新幹線をめぐり、開業が延期となる可能性が出てきた。静岡県の川勝平太知事が静岡県内工区の工事に難色を示しているためだ。市は橋本に(仮称)神奈川県駅、鳥屋地区に関東車両基地が建設されることを受け、開業を見据えたまちづくりを進めているが、今回の報道を受け、地元関係各者は冷静に受け止め、静観する姿勢を見せている。
リニア中央新幹線は、2013年9月に公表された「環境影響評価準備書」の中で、神奈川県内の駅が「橋本駅付近」に設置されることが示され、翌年10月には(仮称)神奈川県駅が橋本に、関東車両基地が鳥屋地区に建設されることが国土交通省により認可された。これを受け、市は2016年に、橋本駅と相模原駅周辺を一体として整備を進めていく「相模原市広域交流拠点整備計画」を策定。その中で橋本駅南口の旧相原高校跡地周辺16ヘクタールを重点地区に、複合都市機能ゾーン、広域交流ゾーン、ものづくり産業交流ゾーンの3ゾーンにわけ整備を進めることを発表した。加えて、周辺道路の整備も進め、圏央道相模原ICまでの道路を整備の柱に据えている。現在は、国、県、JR東海、警察署など関係各所と、27年の開業を見据え、事業計画を策定するため交渉を進めている。
そうした中、6月26日にJR東海と川勝静岡県知事が会談。川勝知事が、大井川の水量減などの環境問題を理由に、静岡工区のトンネル掘削に先立つ準備工事を現時点では認められないとの意向をJR側に伝えた。これにより事実上、27年の開業が難しくなったと報道各紙が報じたことにより、区内でも様々な議論があるが、概ね静観する姿勢をみせている。
リニア誘致当初から中心で活動してきた、リニアのまち橋本を育てる会会長の真田勉さんは、「JR東海は環境問題について静岡県民と静岡県に説明し、納得してもらわないと先に進めないのでは。会としては地域経済にもかかわるので1日でも早く開業してもらいたい」とコメント。さらに「今回のコロナにより、大企業を中心にテレワークやオンライン会議が浸透してきたため、開通してもビジネス利用が減るのではないか。そのあたりについてJR東海がどう考えているかも知りたい」と話した。市リニア駅周辺まちづくり課も「リニアは本市にとってもメインの事業。たとえ延期になったとしても、道路や駅周辺の整備は必要に応じて着実に進めていく。市としては、延期の影響は今のところ考えていない」と話す。
一方、関東車両基地を観光の目玉に据え様々な方策を考える、リニア中央新幹線関東車両基地回送線の旅客線化を求める市民協議会の関戸昌邦会長(津久井商工会長)は「地域振興の観点からするとリニア開通には大きな期待があり夢の一つ。特に津久井には車両基地が建設される予定で、これを生かしたまちづくりの構想を地域住民とともに進めている。我々は予定通りの開通を見据え、今後も議論を進めていきたい」と話している。
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