淵野辺出身の杉岡太樹さん(41)が監督を務めたドキュメンタリー映画『息子のままで、女子になる』が6月19日、東京・渋谷区の映画館「ユーロスペース」で公開初日を迎えた。
映画は、男性として歩む人生に違和感を抱き続け、社会人生活を送る直前に女性として生きることを決めたサリー楓さんが、新たなトランスジェンダー女性像を打ち出そうとする過程や、さまざまな葛藤をとらえている。昨年、米国ロサンゼルス・ダイバーシティ・フィルムフェスティバルで邦画初の公式招待を受け、ベストドキュメンタリー賞に輝いた。
初回のチケットは即完売。上映後、杉岡監督や出演者の楓さんらによる舞台あいさつが行われた。楓さんは、「映画をご覧になった皆さんがどう感じられたかとても気になります。中には批判的なご意見もあるかもしれませんが、一緒に議論していきながら、よりよい未来をつくっていくための一歩となることを願っています」と述べた。登壇者を代表して杉岡監督は、「映画のご感想は皆さんにお任せして、どう受け取ってもらっても僕としては肯定したいとたびたび発信してきたが、一つ言えていなかったことがある」とし、「発信する時に差別を許すことはできないという自分自身のスタンスをはっきりと表明しておきたい。感じたことを発信して言葉にしていく時には、その先に受け取る人がいて、そこには楓さんやほかの方々も含まれるかもしれない。ぜひ感じていただいたことを自由に発信してほしいのと同時に、その方法によっては受け取る側にとっての差別が含まれる可能性もある。皆さんの友人や周りの方に映画をぜひお勧めいただきたいが、その時にそのことをお伝えいただけるとうれしい」と話した。
映画は順次全国公開予定。県内では横浜市中区の映画館「シネマ・ジャック&ベティ」で8月下旬以降に公開予定。作品の問合せは【メール】youdecidefilm@gmail.com。