木材業はSDGs 神奈川県木連・栗林会長に聞く
神奈川県を地元とする「材木屋」の集まりである神奈川県木材業協同組合連合会(以下神奈川県木連)。現在は10団体221社が加盟している。
その会長に今年5月、新たに就任したのが、南区麻溝台にある(株)相模原木材センター社長の栗林一郎氏だ。「私が神奈川県木連に入会した40年ほど前には、1000社近くが加盟していた。その頃に比べるとだいぶ少なくなってしまったという印象です」と話す栗林会長。その理由として氏が挙げるのが、40年前に比べて木材の価値がほとんど変わっていないこと。安定した木材の供給には、定期的に木を切り、植え替えをしていくことが必要となる。「しかし現状の価格では、生産者が意欲を保つことが難しい」と栗林会長。
そのため神奈川県木連では、神奈川県産の杉や桧を活用した圧密フローリングやパネリングなどの内装材を開発。木材の新たな活用法を模索している。過去にはフォーラムや県産木材住宅フェアーなどを主催。周知にも力を入れている。
杉や桧は植林してから30年くらいの成長期が、一番多く二酸化炭素を吸収して酸素を作り出す。「材木は、植林と伐採を繰り返していける再生産可能な循環型資源。まさにSDGsです」と栗林会長。「木材の魅力を伝え、県産材の利用・需要を掘り起こすためのPRを行うことで、適正価格にしていきたい」と意気込む。
コロナで製材所の休業を余儀なくされた中、アメリカで住宅建築需要が高まったことで、世界的に建築用木材の需要が増加した結果、木材価格高騰が引き起こされている。その影響は日本にも及び、「ウッドショック」なる言葉も生まれている。国産木材に目が向くいい機会になるとの見方もあるが、現状では、設備等の問題から国内では1割の増産が限界と言われている。「設備投資をしていくためには、やはり長期的な安定需要が必要。そのために活動を続けていきたい」と栗林会長は話している。