共生社会の実現に向けて住民らで考える「横山地域ケア会議」(運営主体/横山地域包括支援センター)内の「ALL横山地域づくり部会」はこのほど、地域を訪問する医療・介護従事者が無料で車を止められる「横山地域協力駐車場」の取り組みを開始した。これにより訪問の際に課題となっていたサービス提供時の従事者の負担が少しずつ改善に向かっている。地域全体で取り組むのは市内でも初の試みだ。
始まりは2020年の冬。コロナの脅威と戦いながら医療や介護の現場で働く従事者たちに「何かしたい」と、感謝の思いを綴った手紙を地域の病院や介護事業所に送ったのがきっかけだった。
翌年6月、医療や介護従事者たちを招いて「地域づくり部会交流会」をオンラインで開催。コロナの状況や現場での困りごとなどを聞いた。「地域で何かできないか、ざっくばらんに話がしたかった」と高橋年廣部会長は振り返る。話を進めていくうちに、訪問診療や介護をする際の「駐車場問題」が浮き彫りとなった。
仕事外の労力
交流会で、参加者の一人、訪問介護事業所で働く星和恵さんは「車を止める所を探すのが本当に大変」と切実に訴えた。星さんは、訪問先に駐車場がない場合、サービスを提供する事業所が場所を用意すると法律で定められていることや、コンビニやスーパーに止めさせてもらうことが多い現状、有料駐車場の費用はほとんどが担当者の「自腹」だという現実を赤裸々に説明し、「サービス以外の労力が半端じゃない。本来の仕事以外のストレスが発生している」と、辛い思いを吐露した。
現状を聞いた同部会はこれを「地域全体の問題」と捉え、医療・介護従事者が無料で使用できる駐車場を用意しようと決め、動き出した。
「他地区にも発信を」
同部会は20年秋からイオンの移動販売を定期開催しており、この実績が「みんなで支えあう地域づくりへの理解に役立っている」と高橋部会長。顔を合わせ情報交換をする場ができたことで地域のつながりが強化されてきた。
同部会は自治会や地域住民らに呼びかけ、少しずつ提供駐車場を増やしていった。今年4月、約30台が確保できたことを病院や介護事業所に報告。駐車場場所が記された地図が渡され、現地には案内板が設置された。星さんは「仕事に行きやすくなり感謝している。横山のような地域がもっと増えてほしい」と喜びの表情を見せた。9月末現在、提供駐車場は50台まで増加。高橋部会長は「まだまだ全体を網羅できてはいない。協力者をもっと増やしていきたい。横山だけでなく他地区にも発信していければ」と展望を語った。
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