相模原市は、坂道でも狭い道でも低速で走ることができる小型の電気自動車「グリーンスローモビリティ」(通称、グリスロ)の導入を検討している。南区の新磯勝坂地区では10月30日から実証実験が始まり、利用者の評判も上々のようだ。交通不便地域の新たな移動手段として本格導入なるか。
グリーンスローモビリティは時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車を活用した小型の移動サービスで、その車両も含めた総称を示す。2018年頃に国土交通省が、地域が抱える様々な交通の課題と地域での低炭素型モビリティの導入を同時に推進できる取組として提唱した。
全国では交通不便地域や高齢化が進んだ地域、観光地で実証調査が進み、導入するケースが広がっている。ゴルフカートのような4人乗りから、バスタイプで10人以上が乗れる車両などさまざまな仕様がある。乗合バス事業やタクシー事業での運行のほか、個人や市民団体による自家用有償旅客運送としての運行、ボランティアによる無償の運行がある。
近隣では2019年に町田市鶴川地域で社会福祉法人が運行主体となり運行を開始。高齢者向けに団地と商業施設を巡回するゴルフカートタイプの車両を使って登録制による有償で実施しているケースがある。
相模原は今年度から
相模原市では2023年度の新規予算として「グリーンスローモビリティ運行支援事業」に約2430万円を計上し、地域主体の移動手段として検討を始めた。
今年6月から7月にかけては、緑区若葉台地区で地元の自治会などで構成する「グリスロ若葉台の会」が主体となって住宅と医療機関を巡回するルートで実証運行を行った経緯がある。
10月30日から始まった新磯勝坂地区の実証運行を主体するのは地元の住民らで組織する「新磯地区グリーンスローモビリティ導入検討委員会」。スーパーや自治会掲示板などに14の停留所を設け、約3・5キロメートルのルートを月曜日と木曜日に1日2便運行している。
市担当者によると、「新磯地域はコミュニティバス運行条件となる1便10人以上の乗客が見込めず、導入できなかった。移動手段が困難な方への対応が課題となっていた」という。
現在、運行を支えるボランティアは運転者2人、買い物支援のための助手3人の計5人。運転手を務める勝坂自治会連合会の鈴木真司会長は「地域に求められていると実感するが、運行回数やルートの追加となるとボランティアがもっと必要になる」という。
市担当者は「ボランティア無しでは成り立たない。地域でどこまで協力をし合えるかがカギ」と話す。今後、ほかの地域でも実証運行を実施し、導入に向けたマニュアルを作成する予定だという。
導入に高いハードル
国土交通省によると、今年3月末までに全国の130の自治体で実証運行が行われたという。
国土交通省の担当者は「車両の購入や点検などにかかる維持費のコスト面と、ドライバーを確保できるかどうか、主にその2点が導入して継続できるかのポイントになるのではないか」と話している。
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