障害のある人から生活の中で支障となっていることへの対応を求められた時に対応する「合理的配慮」が4月1日に民間事業者にも義務化されてから1カ月が経過しようとしている。社会の理解、周知はどこまで進んでいるのか、当事者や関係者に聞いてみた。
「障害者差別解消法が改正され、国や県、市でも講演会や研究会が行われたが、当事者や関係者ばかりで一般の方の参加は少ないと感じる。またコロナ禍もあってこの3年間で啓発活動ができなかったことも影響しているのではないか」。そう指摘するのは相模原市身体障害者連合会の小出庄作会長。
2021年に障害者差別解消法が改正され、今年4月から事業者による合理的配慮の提供が努力義務から義務に引き上げられた。企業や店舗の設備やサービスの中には障害者にとっては利用が難しいものもあり、結果的に活動などが制限されてしまうことがある。当事者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思表明があった場合、事業者らは建設的な対話を通じて相互理解を深め、過重な負担にならない範囲で対応策を検討することが求められる。
ただ、店や施設の設備や人手不足などの理由によって対応が難しい場合もある。「どこまでが過重な負担なのか」といった議論が生じている。
相模原市では民間事業者へ周知を図ろうと、冊子「障害者差別解消に向けた合理的配慮の事例集」を作成し、22年に商工会議所などを通じて5300の事業所に配布した。今年3月にも改訂版を4900の事業所に配布したという。
相模原市では今年度から障害理解に関する研修を年に2、3回開催し、受講した民間事業者を「共生社会推進サポーター」として認定する取組を行うとしている。
市高齢・障害者福祉課の担当者は「どこまでが過重かという判断は難しい。例えばA店に出来てB店に出来ないケースなど場面によって異なるため、丁寧な説明をしていくことが大切」と話す。
相模原市肢体障害者協会の吉原君子会長は「4月になっても認知、周知が広がっていないと感じる。合理的配慮について当事者の中でもわかっていない人もいる。合理的とは一体なんなのか。合理的という言葉もどうなのか。合理的に配慮されることと差別は同じように感じる」と話した。
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