相模原市教育委員会はこのほど、今夏の猛暑を踏まえ、市立小・中学校のエアコンの緊急修繕に着手した。設置から10年以上が経過し、冷房能力の低下や不具合が生じるエアコンが増加しているという。経年劣化で機能が低下していく学校施設をどう維持していくか、自治体にとって悩ましい問題が浮き彫りになっている。
相模原市では全市に先駆けて2002年度に基地の騒音やゴミ処理施設の臭気の対策として窓を閉め切るため、南区を中心に市立小・中学校23校にエアコンを設置した。14年度から16年度にかけては「新・相模原市総合計画」の一環として「小中学校空調設備設置事業」を実施し、市内全校の普通教室にエアコンを設置した経緯がある。
初期の南区が大半
今回の緊急修繕の対象となるのは小学校15校の287台と中学校8校の120台、義務教育学校1校の16台で合計423台。市学校施設課によると、大半が初期に設置した南区の学校だという。
市教育委員会ではこれまでも冷房の効きが弱くなったケースなどに対し、順次エアコン設備の更新を進めてきた。ただ、今夏の猛暑の中、冷房能力の低下や不具合が生じるエアコンが増加しているという。
熱交換器を洗浄
今回の緊急修繕は、空調機の機能回復や故障リスクの低減を図るのが目的。教室内に設置しているエアコンを分解し、機能の効率化を図るために熱交換器などを洗浄する。洗浄にかかる事業費は、現計予算に予備費を加えた2000万円としている。8月初旬に着手し、8月中に完了させたい考え。ただ一部の学校では9月に完了させる予定。
川崎はPFI活用も
全国的に公立小中学校のエアコン設置が進んでおり、県内の政令市では川崎市が2009年、横浜市が2013年に設置を完了させた。ただ設置から10年以上が経過し、相模原市と同様に設備の更新が課題となっている。
川崎市では今春、民間の資金を活用したPFI方式によってエアコン設備を入れ替える方針を決定した。市立小学校103校と中学校51校を対象に2025年度から4カ年かけて省エネ性能の高い機種に変更するなどの更新を図る計画。複数の企業で構成される特別目的会社と約264億円で契約した。
「課題意識ある」
相模原市の担当者は「設備が古くなれば、いつかは更新しなければいけないという課題意識は持っているが、現時点では具体的には決まっていない」と話している。
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