2016年度の児童虐待状況について、市はこのほど統計を取り始めた10年以降で初めて把握人数が前年を下回ったことなどを発表した。
16年度に市子ども家庭相談課と児童相談所が把握した児虐虐待数は1714件で、前年から77件減少。10年以降、毎年更新していた過去最多件数が止まる形となった。
種類別では子どもへの脅迫、無視などの「心理的虐待」が最も多く、前年から62件増加の722件。次いで「ネグレクト(育児放棄)」、「身体的虐待」、「性的虐待」の順だった。
把握別に見ると、警察による報告の件数が438件で、全体で最多。前年から112件増加した。虐待以外の子育てに関する相談件数は2421件で、昨年比で159件の増加となった。
虐待としての認識不足
把握件数自体は減少したが、その中で心理的虐待の件数が前年比で9%増加している理由について、市は「面前DV」での相談、通告の増加を挙げる。面前DVとは、子どもの目の前で配偶者へ罵声を浴びせ、夫婦間で激しく言い争うことなどを指す。子どもへの直接的な言動ではないが、心理的に大きな傷を負うケースが多いことから、04年の法改正で「心理的虐待」として明記。全国的にも相談、通告が増加している。
こうした状況を踏まえ、市では昨年度から児童虐待の早期発見などを目的に警察との連携を強化。その中で、警察もこうした夫婦間トラブルに対応した際に、当事者の子どもを積極的に「心理的虐待」の被害者として児童相談所に通告するようになったことで、その結果が数字に表れていると説明した。市では今後も、虐待の早期発見、被害の拡大防止を目的に警察や学校などとの連携を図っていく方針。加えて「面前DV」について「虐待にあたることも知らない人が多いので、今後も啓発活動に力を入れていきたい」と話した。