相模大野の「中國料理ビストロプータン」店主・江幡美智男さん(62)が続けてきた、障がい者等を招待し無償で料理を提供する事業が、6月に30周年を迎えた。この間、同店に招待されたのは70施設以上、約850人に及んでいる。
東海大相模高校を卒業後、友人と一緒に中国料理店で修業を始めた江幡さん。住み込みで働きながら、夜な夜な友人と夢を語り合った。「その時に、自分の店を持てたら恵まれない子どもたちに食事を提供したいね、と話していた」という。
念願の店を持てたのは30歳の時。借金を抱え、最初の内は正月も休まず夢中で働いた。ようやく店が軌道に乗り始め、夢だった招待事業を実施できたのは32歳。社会福祉協議会の協力で、地域作業所で働く障がい者を招待したのが最初だった。以降は月に1回、定休日である日曜日に店を開け事業を続けてきた。児童福祉施設の子どもたち、東日本大震災で避難している人などを招いたこともある。「30年を目標に頑張ってきたけど、ここまで続くとは」と苦笑する江幡さん。しかし、障がい者の置かれている現状も知ることができた。「保護者の方から『普段は外食もなかなかできないので、こういう場所を作ってくれて本当に感謝している』と言われたことが嬉しくて頑張れた。それと周囲の協力があったからこそ。体が動くかぎりは続けていきたい」と江幡さんは話している。