重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している重症心身障害児を対象に児童発達支援・放課後等デイサービスを行っている多機能型事業所「サポートルーム ぼっちぼっち」(鹿沼台)では現在、3歳の未就学児から高校生までの利用者約30人ほどが所属し、活動を行っている。
相模原市で初めての重症心身障害児支援の受け皿として、2012年に開所した同事業所。利用者の7割が経管栄養の注入や痰の吸引など、看護師による医療的ケアを必要としており、スタッフは常に利用者と1対1で対応している。
サポートの際に利用者と肌が触れ合う場面も多いため、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた当初、事業所内には緊張が走ったという。重症化のリスクが高い人工呼吸器を必要とする利用者も預かる同事業所は、これまで以上に活動に慎重さが求められるようになった。
感染者数の増加に合わせて保護者とスタッフから不安の声も上がり、3月から2週間ほど事業所を閉鎖し、感染症対策を検討するためスタッフ同士の話し合いが重ねられた。同事業所を運営するNPO法人はるの新田文恵理事長は「初めての状況にどの対応が正解なのか、迷いながら手探りだけど、事業所は維持し続けたいと考えていた」と話す。限りあるスペースの中で密集を避けるため、利用者を1日5人のところを1人か2人に減らすほか、歯磨きやトイレの補助など活動の一つひとつを看護師中心に見直し、できる限りの工夫を図った。
利用を制限しながらも3月中旬に事業所を再開するが、しばらくの間キャンセルが相次いだ。預かることができる人数が少ない中で、利用者の自己表現が減ってしまうなどの新たな問題も表れ始めた。外出自粛が求められ、外からの刺激や体を動かす機会が無くなると利用者の感情も沈みがちに。利用者の多くが通う中央支援学校や、ショートステイができる施設などの休業が続く中、自宅で24時間共に過ごす家族の負担も大きくなり、事業所へのニーズが高まり始める。そうした思いに応えようと、3月以降休業せず、支援を続けてきた。
現在再び感染者数が増加傾向にある中、通常の生活に戻りつつあることに新田理事長は警鐘を鳴らす。「病院に新型コロナ感染者が増えると、医療的ケアを行っている施設などが圧迫され、その家族にも負担が掛かってしまう。他人事だと思わないで気を付けてほしい」と強調。さらに「障害が最重度だからといって何もできないわけではなく、その子の個性や生き方、可能性がある。そのことをぜひ知ってほしい」と改めて同事業所の活動や重症心身障害児への理解を求めた。
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