12月19日午前10時、東林間にある相模大野ハイツに、突如金管楽器が奏でるクリスマスソングが響き渡った。同ハイツから道路を挟んだ踊り場で、演奏を披露したのは上鶴間中学校の吹奏楽部。ハイツの住民はベランダや玄関前から生徒の演奏に耳を澄ませ、一曲終わるごとに大きな拍手を送った。
新型コロナウイルス感染症の影響で大会や演奏会も中止になり、人前で演奏する機会を失っていた同部。緊急事態宣言で学校も休校となり、1年生の入部は8月までずれこんだ。練習も週4日で1日あたり30分〜1時間と大幅に制限され、文化祭以降、誰かの前で発表する機会はなかったという。
そんな生徒たちに、「演奏する機会を作ってあげたい」と考えたのが、同中学校PTA会長を務める吉岡美保さん。そこで青少年指導員として知り合いだった「相模大野ハイツ助け合いの会」の谷健一郎さんに相談した。谷さんも「コロナ禍で外出できないハイツの住民に、音楽で癒しを感じてほしい」と考えており、2人の想いが合致。秋頃から準備に取り組んできた。
一番重要だったのは感染症をいかに防ぐか。そこで「人を集めないで聴かせられる」コンサートを模索。ハイツの外から住民に演奏を届けてもらうことを提案し、学校や吹奏楽部も快諾してくれた。「12月にコンサートが開催されることが決まってから、『楽しみにしている』という住民の声をいっぱい聞いたよ」と笑顔で話す谷さん。中には「あと〇日」と書いた日めくりを窓に貼り、指折り数えて待っていた人もいたという。
そうして迎えたコンサート当日。同部は寒さに凍えながらもクリスマスソングのほか、パプリカ、上を向いて歩こう、ルパン三世のテーマなど6曲を披露。ハイツの住民だけでなく、近隣からも人が距離を取りながら集まり、音色に聴き入った。
コンサート終了後に取材に応じてくれた同部の佐藤心美部長(2年)は、「まず、発表の場を与えていただけたことが嬉しかったし、楽しかった」とにこやかに話した。演奏の出来については「寒くて手が動かなかったので80点かな」としながらも、「こういった機会は貴重な経験。声をかけていただけるなら、今後もできるだけ参加したい」と話していた。
![]() ステージはハイツ前の踊り場
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