次代を担う青少年に発明や工夫する楽しさ、創作する喜びを体得してもらい、創造性豊かな人間形成を目指して毎年開催されている「神奈川県青少年創意くふう展覧会」。その第80回の表彰式が昨年12月18日に横浜市で行われ、市立桜台小学校6年の嘉手納杏果(ももか)さんの作品「しまるん」が、神奈川県知事賞に輝いた。
同展覧会は、一般社団法人神奈川県発明協会と神奈川県が主催。県内各市町村長から推薦のあった小中学校の生徒、公益社団法人発明協会公認の少年少女発明クラブに所属する小中学生、県内の高校に通う在学生が出品できる。
2度目の挑戦で
以前に取材を受けた雑誌の記者から、同展覧会の存在を教えられたという嘉手納さん。一昨年、5年生の時に初めて「からまないハンガー」という作品を出品し、優良賞を受賞した。
特別賞を目指して2度目の挑戦となった昨年、考案したのが「しまるん」という作品だった。コロナ禍による休校期間中に、料理に興味を持ったという嘉手納さん。その際、食品などを保存するファスナー付きのプラスチックバッグに入っていた食塩を使用した後、ファスナー部分に塩が付着してしまい、うまく閉まらない「粉噛み」の状態になってしまうことに不満を感じた。小麦粉や煎茶など、他の粉末状の食品も同じような状態である事に気づき、この「小さな悩み」を解決するための方法を模索し始めたという。
何かアイデアを思い付いたらすぐにメモして、さまざまな案を検討。その結果、袋の中身の粉末がファスナー部分に付かないようにするのが一番の近道と結論付けた。
そうして思い付いたのが、外袋の内側にファスナー部分に当たらない長さの筒状の内袋を入れて熱で接着する工夫だった。また、食品の取り出しやすさを考え、内袋の形を台形に変更。内袋を折り返して閉じた上に外袋のファスナーを閉めるので、密封性も高く、酸化防止や品質の劣化防止にも効果的と考えた。
「熱で外袋と内袋を接着する際、厚みや素材によって温度や時間を調整するのが難しかった」と話す嘉手納さん。もともと発明が大好きで、小学生にしていくつもの特許を所持。今回の作品も「袋体及びその使用方法」の名称で特許を出願し登録されている。
「電気回路を使ったり大掛かりな作品がある中で、独創性を評価してもらい、県知事賞をいただけて嬉しい。今後も日常の中の不満や面倒なことを解決するため、頭を使って発明していきたい」と嘉手納さんは笑顔で話している。
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