10月は食品ロス削減月間。本紙では食材の有効活用など食品ロスと食の格差を減らす活動を続けている「フードコミュニティ(南区下溝/中臺博代表)」を取材した。
※ ※ ※
「フードコミュニティ」はサラリーマンだった代表の中臺さんが定年退職後、地域のボランティア講習を受講し、市民ファンド「ゆめの芽」からの助成を受け、2016年に仲間4人で立ち上げた。食材の搬送活動は同じ講座を受講した緑区在住者から「自身の作った農作物を必要な人に提供したいがどうしたらよいか」との相談を受けたのがきっかけ。市内で活動するこども食堂のボランティアに参加していた中臺さんが、食材の提供者と利用者双方の橋渡し役として搬送を買って出たのが活動の始まりだった。
物価高騰、影響ジワリ
「フードコミュニティ」は現在30〜70代の20人で活動。フードバンクかながわやJA相模原市などの企業・団体や個人から提供された食材や飲料、日用品などを仕分けし、こども食堂や生活困窮者を支援する団体や世帯に直接配送している。20年からは相模原市の協働事業提案制度で事業認定を受け、市が対象世帯とするひとり親世帯などの内、食材配送も希望する65世帯(希望者多数の場合は抽選)への配送も行っている。
提供される食品は、賞味期限が1カ月以上あり、常温保存できるもの。メーカーのデザインや内容量変更など商品の切り換えに伴う余剰在庫や災害備蓄品の入れ替えによる放出品なども多い。JA相模原市からは、組合員や利用者から寄せられた野菜や果物などの農作物、衣類や文具といった日用品も提供される。
企業のSDGs活動として支援促進期待
活動が認知され、範囲が広がる中で、新たな課題もある。中でも悩ましいのが昨今の物価高騰。
配送のためのガソリン代や事務所兼倉庫の電気代など燃料費の値上がりは活動資金を圧迫している。また食品の値上がりは提供食材の減少にもつながっている。「作り過ぎない、余剰を抱えないということで食品ロスが削減されるのは良いこと。ただ廃棄される食品が減るのと同時に困窮者が減らなければ、むしろ格差は広がり、より深刻な状況になってしまう」と中臺さんは懸念する。今年5月からは富士ホールディングス株式会社(中央区)が食材を提供する企業・団体からの配送支援を開始した例を挙げ、「SDGsの観点からも食材の提供以外に特長を生かした支援をしてくれる企業が増えれば」と要望した。
フードコミュニティではボランティアおよび食材の提供を募集している。問合せは【携帯電話】070・4481・4094【メール】foodcommunity.1001@gmail.com
さがみはら南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|