神奈川の文化の向上発展に尽力した個人や団体に贈られる「第72回神奈川文化賞・スポーツ賞」の表彰式が11月3日、神奈川県民ホールで行われた(神奈川県・神奈川新聞社主催)。相模原市からは現代美術家の上條陽子さん(86・南区)とアルプス技研創業者の松井利夫さん(80・中央区)が文化賞に選ばれた。
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芸術振興と国際交流に貢献したとして、芸術部門で文化賞に選ばれた上條さん。横浜で生まれ育ったこともあり、中区にある県民ホールでの式典に「育ったまちに近いところ。感慨深いです」と喜びの表情を見せた。
41歳で「美術界の芥川賞」と言われた安井賞を女性で初めて受賞。50歳の時に大病を患い、2度の開頭手術を経験。その後、ペーパーワークを主とした現代美術家として活躍する。美術館などで作品を発表するだけでなく、地域のこどもセンターでワークショップを実施するなど後進の育成にも尽力。また、市の友好都市である無錫市やトロント市と交流展を開催するなど、国際的な文化振興にも貢献してきた。
難民キャンプで絵画指導
「パレスチナ支援の画家」としても知られる上條さんが、パレスチナを初めて訪れたのは1999年。知人に誘われ、グループ展に参加したのがきっかけだった。寄付で集まった画材を持参して難民キャンプを訪れる絵画指導の支援は20年以上続けている。コロナ前の2019年にはガザから3人の画家の来日を実現させ、巡回展も行った。
パレスチナの現状が報じられる度に「とにかく、戦争はやめてほしい。一般庶民が傷つくのは気の毒過ぎます」と胸を痛める。過激派ハマスのやり方には到底賛同できないが「パレスチナ人の怒りが爆発したんですよ」と声を荒らげた。「私だったらロケット弾の代わりに子どもたちの絵を飛ばして平和を訴える」と、憤りをあらわにする。
実は来年3月に、ガザの画家7人による作品展を新宿で企画している。しかし、10月に現地から届くはずの荷物がまだ届かない。やっと画家の1人からメールが届いたが「10人の親族を失った。空爆が多くて毎日地震が起きているよう」と悲痛な叫びがつづられていたという。他6人の安否は不明のままだ。「彼は生きる気力を無くしてしまった。早く戦争が終わる日を祈るばかりです」
(11月13日起稿)
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