光明学園相模原高校理科研究部は、小中学校や高校が自然保護活動の取り組みを報告する「第57回全国野生生物保護活動発表大会」で文部科学大臣賞を受賞した。同部は神奈川県内で分布を広げている特定外来生物のクリハラリスの生息調査などを実施。行政や、関係機関と連携した取り組みが評価されたという。
クリハラリスは1930年代に台湾から伊豆大島に移入された。県内では江の島の植物園へ移されたクリハラリスが逃亡し野生化。湘南や三浦方面に分布を広げている。丹沢山地など県西に生息する在来リスと競合することで、生態系への影響が懸念されている。
県央15カ所調査
そこで同部は分布調査が進んでいない相模原市や大和市などの森林や公園15カ所で生息調査を実施。クリハラリスの鳴き声をスピーカーで流すコールバック方式を採用し、市内の東林ふれあいの森(上鶴間)など3カ所で生息を確認した。
同部部員の栗田海斗さん(3年)は「見かけた人が餌付けをすると繁殖につながってしまう。増えるとまずいという認識がされていないことが課題」と指摘する。同部は生息を確認した場所を、クリハラリスの情報共有サイトで公開している。
昆虫が減る?
同部は葉山町で駆除されたクリハラリスの個体を譲り受けて胃の内容物について調査を行っている。同部の顧問の下口直久教諭は「冬場、どんぐりを食べる在来リスと比べクリハラリスは樹皮をはがして冬眠する昆虫を食べる傾向があるよう。昆虫の生息数にも影響を及ぼすのではという説もある」と話す。
同部が調査した9個体のうち、胃の中に越冬性のカミキリムシなどが見つかったという。下口教諭は「研究を進め、データを増やしていけば信憑性が出る」と期待を寄せる。小牧勇人さん(3年)は「調査するとで、外来種を野放しにしてはいけないと感じた。賞を受けたことで、より多くの人に伝われば嬉しい」と語った。