相模大野を拠点に活動する「グリーフケアCafeつむぐ」が4月19日、ドキュメンタリー映画を上映する。グリーフケアに取り組む専門家や、悲しみを経験した人々のインタビューを通じて、その現状や課題を浮き彫りにしたドキュメンタリー作品。同団体の代表で作品に出演する島田理絵さんは「誰もが経験しうること。あなたは1人ではないということを伝えたい」と呼び掛けている。
グリーフケアとは、死別、離婚、ペットロス、失業など大切な人や物を失った悲しみ(グリーフ)から立ち直る過程を支援する。
グリーフケアCafeつむぐは2024年8月に設立。代表の島田理絵さんとメンバーの中神静香さんは北里大学で看護を学び、同大学病院に看護師として勤めていた縁から、ユニコムプラザさがみはらを拠点に活動。月に1度、大切な人を亡くした人が集まり、悲しみや苦しみを分かち合う場を提供している。
島田さんは「哀しみの居場所づくり。どんなあなたもみんなで大切にしましょうということを伝えていきたい」と活動について語る。
受け入れる恐怖
島田さん自身も19年に当時5歳だった娘の沙紀さんを病気で亡くしている。4歳で脳腫瘍が見つかり治療法がなかった。
沙紀さんの余命宣告を受けたときも看護師として気丈に振舞っていたという。島田さんは「1人のママとしてこの現実に向き合うことに耐えられなかった。自分が壊れないために看護師に徹していたんだと思う」と振り返る。
沙紀さんを失った後はさらに仕事に打ち込んだ。治療でお世話になった訪問医療に自らも関わろうと転職。一方で近隣住民やママ友との交流は疎遠となった。「人と比べて哀しさや妬み、怒りの気持ちが沸き起こるので刺激をシャットアウトしていた」と語る。当時は他人と目を合わすことができず、あまり泣くこともなかったという。
次第にめまいや不整脈、不眠症として体調に表れた。そんな様子を心配した知人から勧められたのがグリーフケアだった。
元々心理学に興味があった島田さんはグリーフケアを学ぼうと講座に参加。講座にはパートナーと死別した人、東日本大震災を経験した人など、島田さんと同じように大きな喪失を抱えている人たちがいた。
傾聴の練習で互いの体験を話し合ったとき、島田さんは話しながら涙が溢れた。傾聴者も同様に涙を流し、島田さんの話を肯定していたからだ。「大切に話を聞いてもらえたことで、1人ではないと安心できた。苦しさや悔しさ、怒り、羨ましいという感情は娘を愛しているからこそ生まれたもの。それに気が付き、子どもを亡くしたママという自分を受け入れることができた」と語る。
寄り添い方気付きに
中村裕監督の「グリーフケアの時代に」はグリーフケアの必要性を説いたドキュメンタリー作品。島田さんはグリーフケアの講座に参加していた縁で出演する。
作品には島田さんのほかに小学校児童殺傷事件で子どもを失った家族や東日本大震災で喪失を経験した人々の心を介護する僧侶などが出演する。島田さんは「寄り添うとはどういうことなのかが伝わる作品だと思う。当事者だけではなく、周囲で支える方も、多くの方に見ていただきたい」と呼び掛ける。
日時は4月19日(土)、午後2時30分から4時30分まで。参加費950円。会場はユニコムプラザさがみはら。事前予約制で申し込み締め切りは3月17日(月)まで。
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