今季から大卒でSCに加入した、中央区上溝出身のMF上米良(かんめら)柊人(23)。前半戦は途中出場も含め、20戦中19戦に出場。1年目ながらチームの勝利の鍵を握る存在になっている。
開幕後すぐに3得点
憧れていたJリーグの舞台。上米良は3月の開幕戦で試合終了間際にデビューを飾ると、第3節のガイナーレ鳥取戦では後半から出場。チームが同点に追いつかれた直後に味方のシュートのこぼれ球を押し込み、決勝点をあげ勝利に導いた。
勢いはとまらず、第5節。チームは昨年までJ2に所属していた格上のロアッソ熊本にアウェーで2点差を付けられ、苦しむ展開。後半、三浦文丈監督から「流れを変えてこい」と送り出された上米良は、その1分後、味方がつないだパスをフリーで受けると、そのまま右足を振り抜き相手ゴールを割った。これで火が着いたSCは、立て続けに2点目を決め同点に持ち込むと、後半27分にはまたも上米良がシュートを突き刺す。自身に回ってきたチャンスをしっかりものにし、劣勢だったチームに逆転勝利をもたらした。
初めてのJリーグの舞台で、めざましい活躍を見せる上米良だが、これまでの自身のプレーについて「まだまだ納得のいくものではない」と厳しく評価する。自身の持ち味は「DFの背後から、積極的にゴールを狙う貪欲さと運動量」。だが、第6節以降は得点に絡めておらず、シュートすら打てない試合も少なくない。パスを回してボールを保持しつつ、連動で得点につなげるチームのスタイルの中で、どう自身を生かすか。3週間に及んだ中断期間では、チームに染まるだけでなく、個性を伸ばすことを意識した。「まずは無理矢理にでも自分でゴールを狙い、だめだったら味方を使うことを意識した。この心がけで練習試合では2点決められた」と手応えを口にする。
流れ変える「起爆剤」に
こうした「ゴールへの貪欲な姿勢」を、三浦監督も高く評価。「相手が嫌がるプレーをし、流れを変えかき乱すことができる」と期待を寄せている。上米良は、「監督が自分のプレーを理解してくれている。その気持ちに結果で応えたい」と意気込みを見せる。
現在、18チーム中13位に沈むSC。前半戦では、ボールは保持するも、気の緩みから失点してしまうことが多かった。こうした状況に、「すごくもったいない。コミュニケーションを徹底し、90分しっかり集中して勝ち点3をとっていきたい」と話す。後半戦に向けては、「ゴール前だからこそリラックスし、積極的にゴールを狙っていきたい」。目標は「二桁得点」。コンディションと気合は十分。泥臭くゴールをめざし、エースの座を狙う新鋭から目が離せない。