開設25周年を迎えた「カナコー天文台」の世話役を務める 小林 俊通さん 大野台在住 64歳
「天文の感動、伝えたい」
○…1996年6月に(株)カナコービルの4階屋上に開設して以来、地域住民に開放する県内でも珍しい私設の「カナコー天文台」。開設当時、同社の仕事に従事するかたわら、パソコン操作の技術を買われ世話役を託された。「少し興味があったくらいで天文に詳しく無かったけどね。気付けば25年が経っていました」と笑う。撮影した天体の様子をSNSで発信するなど天体観測の普及に努め続けている。
○…皆既月食や流星群などが話題になるたびに屋上を忙しく動き回る。望遠鏡の焦点を合わせ、時にはシートに寝転んで夜空を見上げる。「人気があるのはクレーターや影がはっきりと分かる月だね。私はオリオン座が好きなんですけどね」。一番の思い出は2012年の金環日食。100人ぐらいの住民らが入れ替わり訪れた。「少し曇っていたけど、徐々に見えてきたときは感動した。歓声もすごかった」と当時の記憶がよみがえる。
○…子どもの頃は、相模川に釣りに行ったり丹沢山系を登ったりと活発だったという。天文台の近くにある相模台中学校を卒業後、高校や専門学校で建築技術を学んだ。休みの日にマテ貝堀りや手長海老釣りに出かけるのが息抜き。お気に入りのスポットは設計から携わった相模原公園だ。「自然が好きなのは昔から変わらないですね」
○…望遠鏡を操作できるのは自分だけとあって、課題は後進の育成。「そろそろ教えていかないと。4階まで登れなくなったら引退だからね」と苦笑する。これからの季節は、天の川や小学生が訪れる8月のスターウィークなど楽しみは尽きない。「初めて望遠鏡をのぞいた人が感動した表情を浮かべるとうれしい。地域住民や子どもたちが楽しそうに空を見上げる姿が活動の源です」
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