相模原南警察署長に今春就任した 熊澤 英人さん 南区在住 56歳
当たり前を積み重ね
○…「仕事、地域、仲間に惚れる『三惚れ』の精神で取り組んでほしい」。着任時の訓示でそう語った。前任は県警の刑事部の捜査第三課長。犯人逮捕を共通の目的として動く捜査とは違い、警察署は交番、交通、刑事、生安など業務内容も目的もさまざま。「署員が同じ方向を見るためには自分の仕事一つ一つを好きになること。一番重要なのは南区という地域を好きになること」
○…テレビで見ていた刑事への憧れから大学卒業後、22歳で警察官に。機動捜査隊、地域署の刑事課など刑事畑を歩んできた。遺体を調べて病死か事件かを判断する検視官に40代前半で任命。判断ミスが許されない重責に計5年間向き合い続けてきた。専門的な知識以上に大事なことは、遺体の状況や証言の違和感に対し一手間を惜しまず捜査する姿勢。「純粋な正義感があれば概ね見分けられる」と自負する。だがどれだけ手を尽くしても自らの判断が正しかったのか「ときどき今でも怖い」とこぼす。
○…横浜の自宅には妻と2人の娘が暮らす。就職活動や大学受験を控える娘達に対して「人生の岐路で寄り添えないのはちょっとね」と後ろめたさをのぞかせ、父親の表情を見せる。趣味はオートバイ。自宅に停めているため公舎の現在はお預け。「替わりに自転車を買おうかなって。管内をいろいろ回りたい」と意気込む。
○…署長室に『凡事徹底』の言葉を掲げた。「何でもないようなことを徹底し、積み重ねればいい方向へ向かう」。若手時代、常に言われ続けてきた。事件事故の捜査、防犯、通報への対応など多岐に渡る業務に「警察だけでできることは極端に少ない。市民との協力が必要」と力強く語る。凡事徹底で地域と信頼関係を築いていく。
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