活性化へ6つの重点政策 加山俊夫市長にきく
2013年の年頭を飾る企画として、本紙では加山俊夫市長=写真に対し、新春インタビューを行った。政令指定都市に移行して3年が経過しようとするのを前に、加山市長は相模原市の未来に対する構想や考え方、厳しい財政状況下での2013年度予算などについて率直に語った。(聞き手/本紙さがみはら南区編集長・齊藤明)
――早速ですが、昨年(2012年)を振り返っての感想をお聞かせ下さい。
昨年は、本市にとって街づくりに関する大きな出来事があった年でした。まず、相模原市の都市形成に大きなインパクトを与えるリニア中央新幹線の駅を橋本駅周辺へ誘致することが2月3日に決定しました。5月15日には、さがみ縦貫道路の市内にできる2つのIC(インターチェンジ)の名称が、相模原愛川ICと相模原ICに決まりした。6月29日には念願の相模総合補給廠の一部約35ヘクタールの共同使用が、日米合同委員会で正式に決定されました。また、173年ぶりとなる金環日食では、JAXAの協力の下、市立全72小学校・約37000人の児童が観測会を実施。ロンドン五輪では、なでしこジャパンの岩清水梓選手が銀メダルを獲得するなど、本市ゆかりの選手が大活躍。青山学院大学が箱根駅伝で5位、出雲駅伝では大会記録で初優勝する快挙を成し遂げました。
――新年度予算編成の骨格、テーマ、重点施策をご説明下さい。
厳しい財政状況下、社会保障制度に非常にお金がかかる時代になってきています。さらに、経済が疲弊し、市の財源が限られる中、必要な政策を見極め、実行していきたいと思っています。福祉・医療・教育など市民生活に直結した施策を着実に進めるとともに、財源を確保するため、地域経済の活性化による税収の増につながる施策に取り組み、「人や企業に選ばれる都市づくり」を進めていきたいと思っています。このため、6つの重点政策を掲げ、市政運営に取り組んでいきます。
まず、「安全で安心して暮らせるまちづくり」として、首都直下型地震などによる国・県の被害想定の見直しを踏まえ、地域防災計画の改定などにより、防災・減災対策を進めます。不登校、引きこもり、いじめなど子どもをめぐる今日的課題の対応や保育所待機児童の解消による「夢と希望あふれる次世代をはぐくむ環境づくり」も必要です。さらに、さがみ縦貫道路のIC周辺地区の産業拠点づくりやリニア中央新幹線駅周辺のまちづくりなどを活かした「にぎわいと活力に満ちた都市づくり」も重要です。次に環境の保全が叫ばれる中、再生可能エネルギーの導入、家庭ごみの減量・資源化、地産地消による「自然の尊さ・恵みを感じ将来の地球環境を守る社会づくり」、従来から進めてきた成熟した市民社会確立の為の「市民本位・市民参加の郷土づくり」も進めます。最後に「『変える』・『創る』・『挑戦する』3つのCの推進」を市民の皆様、職員一丸となって取り組んでいきたいと思います。
−3月竣工予定の相模大野の再開発。職員時代から開発に携われてきた市長にとって、プロジェクトの完成は感慨深いものがあるのではないでしょうか。
南区の中心となる相模大野のまちづくりのコンセプトである3核構造の拠点施設として、これまで相模大野の駅ビル、グリーンホール相模大野・伊勢丹の整備を進めてきました。今年は最後の拠点となる「bono相模大野」がいよいよ3月15日にグランドオープンします。この事業は、平成元年度に策定した「西側区域整備構想」に始まったもので、地権者合意から進め、地域の住民の意向により計画し、私も初めから関わってきたので本当に嬉しく思います。この完成により相模大野地区は、2階部分がペデストリアンデッキ、1階部分が車の動線となり、快適で安全な回遊性が担保されます。「bono相模大野」には、パスポートセンター、市民・大学交流センター「ユニコムプラザさがみはら」、観光アンテナショップ「sagamix(さがみっくす)」、福祉活動・交流の場となる「南区地域福祉交流ラウンジ」が出来る予定です。さらには、産業振興・交通政策の観点からだけでなく、高齢化対策の一環として、市営による公共交通ネットワークの確立が必要です。今、相模大野から原当麻までの新しい交通システムの導入の検討などを進めています。
−最後に本紙読者に向けてメッセージをいただきたいと思います。
一昨年の東日本大震災の折には「絆」という言葉がよく聞かれましたが、高齢化を迎えて雇用の場が少なくなる中、教育、医療など様々な分野で、お互いが助け合っていく社会、市民間、地域間の連携のもと、安全安心の暮らしができるまちづくりを進めてまいりたいと思っています。本年が市民の皆様にとりまして幸せな年でありますようお祈り申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
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