JAXA宇宙科学研究所(以下宇宙研)は、平成がはじまる1989年に東京から現在の相模原キャンパス(中央区由野台)に移転した。その日から今日までの30年、地域に根ざし、宇宙の解明をめざして最先端の宇宙科学研究に取り組む。平成がまもなく終わりを迎える中、宇宙研が相模原に残した軌跡を振り返る。
宇宙研は81年に、当時の文部省が所管する全国の大学の共同利用機関として発足。その後、米軍から日本政府に返還された「キャンプ淵野辺」の跡地の一部に同キャンパスを整備する計画が進められ、84年には飛翔体環境試験棟と構造機能試験棟が竣工。89年に本部が完全移転した。2003年からはJAXAの一機関として、最新の宇宙科学研究に従事している。
宇宙の今を発信
宇宙研は「社会の支持なしに宇宙科学は発展しない」という考えのもと、研究成果を地域に発信するために、市民らを招いた講演会などの取り組みを初期から行っている。
一般向けで人気なのが、1年に一度、施設公開やロケット展示、研究者による講演会などが行われる「特別公開」。試験棟が設立された84年から行われており、初年度は6千人以上が訪れた。現在では1万人以上が集まる地域の一大イベントになっている。その他、小学生向けの講演会など地域住民が宇宙に親しみを持てる機会を提供している。
宇宙研の相模原への移転の動きを踏まえ87年には、相模原市が提唱し宇宙研の関係施設のある2市3町で「銀河連邦共和国」を結成。今では5市2町に拡大し、各市町でサミットや子ども留学交流事業などが行われており、自治体同士の友好関係を深めている。
01年には、青少年の科学への探求心を育むために米国で結成された宇宙少年団の相模原分団が誕生。多くの地元の子どもが所属し科学や宇宙について学んでいる。子どもたちは宇宙研について「宇宙を身近に感じられる存在」「相模原の誇りだと思う」と話し、中には研究員の職に就くことを望む子もいるなど宇宙研の存在が相模原の子どもに夢や希望を与えている。
宇宙研は現在、サンプルリターンのミッションに挑んでいる「はやぶさ2」のほか、様々な小惑星をめざす探査機などの開発に着手している。宇宙研の國中均所長は、「講演会や特別公開などに加え、昨年オープンした『宇宙科学探査交流棟』を介して、これからも宇宙科学研究成果の最前線をお伝えして参ります」と話す。
平成とともに歩んだ30年。宇宙研は今後も地域に根ざし、宇宙のまち・相模原を体現していく。
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