新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、市内のさまざまな分野で尽力されている方々の取り組み、思い、市民へのメッセージをお聞きします。
演奏できる日常を再び オーケストラ・リュミエール 小島正成さん
「ハーモニーを大切に、誰にでも伝わる音楽を」。そのコンセプトのもとアマチュアオーケストラとして1998年に設立された「オーケストラ・リュミエール」。30代から70代の約40人で構成されている。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2月末から拠点としていた市内の公民館やホールが休止となり、練習も一時中断を余儀なくされた。それでも団員たちは7月の定期演奏会の開催に向け自宅などでそれぞれ自主練に励んでいたが、新型コロナ感染症の終息は緊急事態宣言解除後も見えない。公共施設の再開にも不安が残るため、このたび予定していた定期演奏会の中止を決定した。広報担当の小島正成さんは「とても残念。練習の成果を発表する場がなくなり、気持ちの整理がつかない会員もいると思います」と話す。
定期演奏会は7月頃と2月頃の2回のみ。高い技術と熱い演奏に定評があり、観客と共に演奏者も心ゆくまで楽しむ。「メンバーは音楽が好きなのはもちろん、アンサンブルが好きな人ばかり。みんなで一緒に練習し、発表することを楽しみにしている」。発表の場を新型コロナ感染症に奪われ、会員からは混乱の声が上がった。「招待客の対応はどうするのか。どうにかして開催できないのか。そんな声が届きましたが、対面での話し合いの場を持つことができず、議論は紛糾しました」。今までにない状況に迷いながらも、運営陣は関係者への説明や調整に奔走した。意気込んでいた分、会員らの落胆も大きく、小島さんも心を痛める。
音楽を取り巻く環境も変化
加入して10年が経過した小島さん。オーケストラでバイオリンを担当する一方、友人たちと結成したバンドのキーボードとして市内のライブハウスで演奏にステージに立つ。しかし新型コロナ感染症予防の観点から、ライブハウスも次々と一時閉店に追い込まれた。友人や知り合いの音楽関係者の中には仕事がなくなってしまった人もおり、音楽を愛し、携わるものとして「観客に披露することが醍醐味の音楽の世界では、自粛を求められる中ではお金を集める手段が少ない」と憂慮する。
7月の定期演奏会は中止になったが、2月の開催をめざす。「開催にあたって、ソーシャルディスタンスを守るために観客席を離して設置すべきか。演奏者の数を減らすべきか、一つ一つ精査して方針を決めなければいけない」。それには会場の制約や生演奏の迫力が少なくなるのではないか、という課題も付きまとう。練習会場の施設が再開されても、これまでのように練習することが難しくなることを予想しながらも、プログラムの練り直しなどを行う。「普通に練習ができて、定期演奏会ができていたのが幸せだったと今になって思う。また皆と一緒に演奏を披露できる日がきてほしい」。苦境に立たされながらもオーケストラ・リュミエールの音楽を届けるため、2月に向け動き始めている。
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