中央区清新在住の山本貴士さん(48)が、第61次南極地域観測隊として活躍している。山本さんはオーロラなどの天文現象に対する地球の変化を観測。来年の2月に任務を果たし帰国予定で、「南極を知らない人に様子を紹介したい」と話している。
山本さんは岡山県新見市出身。金沢工業大学を卒業後、フィールド・エンジニアとして全国を飛び回っていた。その後、以前から興味があった南極地域観測隊へ2018年に応募。研究グループの教授から声がかかり、翌年に国立極地研究所「宙空圏研究グループ」の特任助手として採用された。しばらくして現地で活動をする観測隊への参加を打診され快諾。初めての派遣が決まったと家族に伝えると、「南極という遠い地に実感が湧かなかったのか、『本当に行くの』と言われた」
観測隊は、夏の3カ月間南極に滞在する夏隊と1年を通して南極に滞在する越冬隊に分かれている。越冬隊に所属する山本さんは、昨年11月27日に出発し、12月30日に相模原から約1万4000キロ離れた南極・昭和基地に到着した。
南極では宇宙から降り注ぐ宇宙線や地磁気、大気電場、オーロラ、太陽活動など天文現象に対する地球の変化の観測を担当している。観測を行うための設備の保守・管理も業務のひとつであり、山本さんは昭和基地で最も大きなアンテナ設備を任されている。南極では強風を伴う吹雪が何日にもわたって続くことがあり、アンテナ設備の破損が頻繁に発生。山本さんはその都度修理し、継続的な観測が行えるよう努めている。苦労はやはり「寒さ」。アンテナ修理などで20メートルほどの高さの鉄塔に登り作業するため、「マイナス20度を下回る時期は南極仕様の防寒着を着ていても寒さを感じる」という。
山本さんは「文化圏から離れ、草木のない環境はこの世の果てを感じる。地球ではない星に来たよう」としながらも「ここでしか見られない景色を満喫できる喜びもある」と心の内を話す。
観測隊は来年1月に昭和基地を出発し、2月に帰国予定。帰国後は「感動したこと、辛かったこと、さまざまな姿を見せる南極の自然の様子を紹介したい」と意気込む。「南極生活もあと半分。残りの時間も精一杯活動したいと思います」と決意を新たにした。
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