ベトナムの戦場へ向かう米軍戦車を一般市民が阻止した事件を機に相模原・横浜で展開された、いわゆる戦車闘争を題材とする初のドキュメンタリー映画「戦車闘争」がこのほど完成し、12月12日(土)からのポレポレ東中野での上映に加え、厚木市などでも公開される。制作側は映画を通じ、戦時下に市民らが戦車を止めるといった、世界でも例のない大規模運動の核心に迫るとともに、相模原で繰り広げられたことへの認知度を高めたい考えだ。
戦車闘争とは、ベトナム戦争の終盤を迎えていた1972年に相模総合補給廠内で修理された米軍戦車がベトナムの戦地へ輸送されるのを報道で知った市民や議員が座り込みを敢行し、その後も搬出を阻止するための闘争へと発展した市民運動。補給廠前では学生運動のグループや革新系の団体などがテントを張って占拠するなど西門付近は物々しい空気に包まれ、座り込みによる抗議行動とその当事者を排除する機動隊とのぶつかり合いが続くなど一連の闘争はおよそ100日間に及ぶものとなった。
映画制作をめぐっては、市内在住の映画プロデューサーである小池和洋さんが当時を知る抗議活動参加者や機動隊員、地元商店主、議員、学識経験者らに取材。いまだ作品化されていない題材だったため、取材で得られた証言に終始せず、膨大な資料を元にさまざまな角度から闘争をとらえた。資料映像も盛り込み、104分の白熱のドキュメンタリー映画となっている。ナレーターは、自身も戦車闘争に影響を受け、「相模原」を歌詞に引用した経緯があるミュージシャンの泉谷しげるさんが務めた。
小池さんは取材活動を振り返り、大規模運動へと拡大した背景を、反戦や反米感情を持つ者だけにとどまならない、「誰もが運動に参加できる空気」が当時存在していたと推測。併せて、「一種のイベントに近いものだったのではないか」と言及する。都内のほか、各地で公開されることについては、「私たちには声を上げる力があり、そして、一人ひとりにできることがある。私にはそれが映画を作ることだった。この映画を通じ戦車闘争を知ってもらうとともに、いま一度、自分自身に何ができるのかを考える機会にしてもらえれば」と話し、公開への期待感をにじませた。
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