地元に古くから伝わる民謡踊り「相模湖音頭」。同音頭を次世代に引き継ごうと活動を行っていた「相模湖音頭保存会」が、高齢化などの理由で昨年解散した。県立津久井養護学校(内野智之校長)では7月19日、同会の元会員らを講師として招き、教員向けの練習会を実施。同校では今後、生徒たちに教える機会を設け、地域文化の理解や継承に力を入れていく予定だ。
相模湖音頭保存会の元会員・橋本永子さん(80)によると、同音頭は相模湖地区に古くから伝わる民謡踊りで、1971年には戦後初のミリオンセラー「王将」などのヒット曲で知られる村田英雄氏が歌い手としてレコードが製作された。全7番まであり、「おらが相模湖 人造湖なれど 富士もみとれる 背のびして」など相模湖や周辺の様子が歌われている。
同会は、相模湖町が相模原市と合併した2006年に地元の有志住民らにより発足。会員はピーク時約20人ほどおり、地域のお祭りやイベントで披露してきたが、昨年のコロナ禍で練習会場が確保できなくなったことや会員の高齢化に伴い、10月に会の活動に終止符を打った。
若柳にある津久井養護学校は、小学部、中学部、高等部あわせて現在約60人ほどの生徒が通う。地域との支援連携を担当する渡邊康行教員は、今年に入ってから郷土理解や音楽の授業の一環として題材を模索。その中で相模湖音頭の存在や昨年保存会が解散したことを知り、「このままだと歴史ある郷土文化が途絶えてしまう。学校という施設を拠点に、生徒たちに継承していけないか」と元会員の橋本さんに打診し、今回まず教員たちに踊りをレクチャーする会が実現した。
まず教員が習得
19日は、渡邊教員の呼び掛けに20代〜60代の教員ら約20人が参加。相模湖音頭保存会の元会員・橋本さんと齋藤勝江さん(77)が来校し、約1時間ほど練習会が行われた。渡邊教員によると、「教員歴が長く地元出身の先生は幼少期に踊ったことがあるようだが、ほとんどの先生にとっては初めて聞く曲。自分も『相模原音頭』は知っていたが、『相模湖音頭』は今回初めて知った」と話す。
振り付けは盆踊り調で覚えやすく、全体で3回踊る頃には全員が一通りの動きを習得。今後は、同日に撮影したレクチャー動画を元に教員らが各自で練習し、8月末に納涼会と題し、教員らが相模湖音頭を披露する。それを生徒指導用に撮影し、夏休み明けから生徒たちに教える予定だ。
渡邊教員は「当校は地域に支えてもらっている学校だが、地域に深く関わりをもつ文化の継承のお手伝いをするのは初めて。地域に残る郷土文化を、生徒たちに感じてもらいたい」と話している。同会・元会員の橋本さんは「相模湖音頭を学校で教えていきたいといわれて嬉しかった。皆さんすぐに踊りが上手になって驚いた。納涼会ではがんばってほしい」と話した。
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