小山中学校(中央区/山崎真理校長)の生徒が中心となり、近接する神奈川医療少年院跡地を囲む鉄板壁を装飾するプロジェクトが実施され、現在80枚の「壁画」が同跡地の周囲を彩っている。これは地域共生を目的に始まったもので、作品は同校生徒と関東地方の少年院にいる若者が「つながり」をテーマに手掛けた。同校は今後、さらに絵を増やすなどの活動を続け、地域に対して「つながり」の重要性について訴えていく予定。
神奈川医療少年院は区内小山に1978年に開設され、保護処分の執行決定を受けた男子少年のうち、知的障害またはその疑いのある人などを収容し、矯正教育を実施していた施設。都内への移転に伴い2019年に閉鎖され、跡地は2年近くの間、鉄板壁に囲まれている状態だった。
昨年夏頃、無地で殺風景な鉄板壁について「落書きが心配」「圧迫感があり寂しい感じがするので、生徒の手で景観を明るくできないか」といった声が地域から学校に寄せられた。そこで同校は少年院との地域共生をめざして絵で壁を彩る「壁画プロジェクト」を発案。跡地を管轄する法務省矯正局へ相談を持ち掛け、同局と共同で計画を実行する運びとなった
プロジェクトは同校の生徒会が主導する形で、今年2月から本格的に始動。同局と相談しながら方向性を固め、学校や地域、家族の関係性の大切さをこの機会に再認識することを目的に、絵のテーマを「つながり」と決定した。
作品は同校と関東各地の少年院から募集。同校から46、少年院から128作品の応募があった。その中からよりテーマに沿った116作品を選び、80枚のパネルにまとめた。加えて「プロジェクトを通して『つながり』の創出をめざしていることを理解してもらいたい」との願いを込め、「つながりとは何か」を問いかける内容を示したパネルも織り交ぜた。そして11月、同跡地を囲う東側の壁に掲示された。
生徒会長の紙屋洸希さん(3年)は「自分たちの努力や絵を描いてくれたたくさんの人たちの協力があって、とても素敵な形で完成し、地域の人たちにも見てもらえる事がうれしい」と喜んだ。同校は今後、今回絵を飾らなかった国道16号側の壁にも掲示をめざす。
跡地は現在、一部の設備を地域や近隣の学校へ開放し、地元との共生を図る取り組みなどを行うことも想定された少年院を新設することが、同局により検討されている。
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